見出し画像

安倍晋三秘録7 ファミリーの葛藤 岩田明子

凶弾に倒れた息子の戒名を骨壺に書いたのは母洋子だった/岩田明子(政治外交ジャーナリスト)

 渋谷からほど近い富ヶ谷の閑静な住宅街に、安倍晋三元首相の邸宅がある。3階建てで2階が安倍と妻・昭恵の居住スペースだった。現在、3階の仏間には安倍が微笑む遺影が飾られ、その周囲には華やかなお供えの花々や絵画、お菓子などが置かれている。死後半年以上が経った今も、弔問客が後を絶たないことが窺われる。

「紫雲院殿政譽清浄晋寿大居士(しうんいんでんせいよしょうじょうしんじゅだいこじ)」

 位牌と骨壺に刻まれた安倍の戒名だ。骨壺の方の達筆な字は、安倍の母・洋子が書いたのだという。昭和の大物政治家である岸信介の娘にして“政界のゴッドマザー”とも呼ばれ、今年で95歳を迎える。

ここから先は

9,016字 / 3画像
noteで展開する「文藝春秋digital」は2023年5月末に終了します。同じ記事は、新サービス「文藝春秋 電子版」でお読みいただけます。新規登録なら「月あたり450円」から。詳しくはこちら→ https://bunshun.jp/bungeishunju

文藝春秋digital

¥900 / 月

月刊誌『文藝春秋』の特集記事を中心に配信。月額900円。(「文藝春秋digital」は2023年5月末に終了します。今後は、新規登録なら「…