北村滋 指導者たちの決断力
愛読書の一つ『指導者とは』(徳岡孝夫訳、文春学藝ライブラリー)には、警視庁本富士警察署長に着任した直後、リーダーシップ論に関心が強かった時期に出会った。著者のリチャード・ニクソン元大統領は、我が国で特に人気の高い米国大統領、ジョン・F・ケネディに敗れた対抗馬として、ウォーターゲート事件の渦中の人物として、その後のオリバー・ストーン監督の『NIXON』におけるアンソニー・ホプキンスの悪役の秀逸さも相まって、ヒール感満載の政治家と見られている。しかし、その政治経歴は、下院議員、上院議員、アイゼンハワー政権で36代米国副大統領に就任するなど長く権力の中枢を歩み続けた。本書は、同氏が、大統領、副大統領などの要職にあった時期に出会ったチャーチル、ド・ゴール、フルシチョフ、周恩来ら戦後世界を動かした指導者の評伝である。実際に会見した時の印象や観察に基づき、指導者たちの決断力や行動を評価している部分は、特に興味深い。
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