芥川賞選考会場にただよう別世界の空気|編集部日記
今号より編集長を務めます鈴木康介と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。
社の人事異動は例年7月。つまり就任したばかりなのですが、月刊「文藝春秋」の新編集長には、いきなり重い役目が待ち構えています。芥川龍之介賞選考委員会の進行役です。
賞の創設者・菊池寛が世に宣言したように「審査は絶対公平」。9人の選考委員は作家の眼で、候補作を厳しく、そして深く読み込んで選考会に臨みます。私はあくまで進行役にすぎないのですが、それだけでも新任の者には大きなプレッシャーで、感覚的には役目というより試練といった感じでした。
選考会場は、東京・築地の老舗料亭・新喜楽。7月初め、19日の選考会を前に社の先輩が下見に連れて行ってくれました。
格式ある玄関をくぐると、広い玄関で温かく迎えてもらい、肩の力が抜けるのを感じます。
「ここは声がよく通るんだよ。だから声を張り上げなくても大丈夫」
会場となる大広間に入ると、先輩が言いました。試しに声を出してみると、たしかに7~8メートル先の床の間まで無理なく自分の声が届いた気がします。
静まり返った空間。通りを挟んで向かいに、にぎやかな場外市場があるとは信じられないほどの別世界です。意匠をこらした欄間、季節や催しにちなんだ床の間の掛物、花。ただよう空気も違います。
面白いのは、大広間の横に一段下がった細長い洋間がしつらえられていることです。低い椅子とテーブルが置かれ、バーコーナーには洋酒が美しく並んでいました。到着した選考委員はここで歓談し、時間になると広間に上がるのです。
さて選考会当日。この場所で、また新たな文学の星が誕生しました。第169回芥川龍之介賞受賞作は市川沙央さんの「ハンチバック」。ほぼ満場一致で受賞が決定しました。電子版では9人の選考委員の選評と受賞者のロングインタビュー、雑誌版では受賞作の全文をお読みになれますので、ぜひ雑誌もご購入いただければ幸いです。
そして今号には「秋篠宮家 佳子さまからの警告」という本誌特別取材班のレポートも掲載されています。
冒頭は今から約2年前、小室眞子さんの涙のシーンから始まります。結婚記者会見の翌月、ニューヨークへ向かう機中でのことです。
ANA関係者の証言によると、この便を予約したのは宮内庁ではなく圭さん本人。しかもネット経由のエコノミークラスでした。それに気づいたANAが機内での混乱を避けるためビジネスクラスにアップグレードし、当日担当した女性パーサーは、2人の置かれた状況に深く同情して、「新婚記念搭乗」のケーキを自分で用意したといいます。
「ご結婚、おめでとうございます!」
パーサーが頃合いをみて2人にケーキを出した瞬間、眞子さんはポロポロと泣き出してしまいました。そして、
「初めて祝ってもらいました……。親にも祝ってもらえてないんです」
と泣きながら話したそうです。
「あの2人は考えられないほど孤独ですよ」
と先の関係者は語っています。
ここ数カ月、佳子さまの「別居」がメディアを騒がせています。リフォームが完了した宮邸に両親と住まず、事務所棟の一室で暮らすのはやはり異常です。
それは一体なぜなのか。実は、2年前の眞子さんの涙と深く関係しています。
秋篠宮家の姉妹が自分たちの運命をどのように受け止め、どのように生きて来たのか。それがよくわかるレポートです。ぜひお読みください。
(編集長 鈴木康介)