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Char直伝「もっとギターが弾きたくなる4つの教え」耳コピ、スマホ、ギターの選び方… 竹中尚人責任編集「ロックとギターをめぐる冒険」#3

あなたはギターを弾いてみたくならないか? もっとギターがうまくなりたいと思わないか? もういちど最初から練習し直そうと思わないか? あなたのギター愛に火を灯す、心のレッスンを開講!

Text : Masaya Bito(尾藤雅哉) Photo : Shigeki Yamamoto(山元茂樹)

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Chapter 1「ギターに毎日触るべし」

ギターを初めて手に入れてから50年以上、毎日欠かさずギターを触っているんだけど……なんか自然と手が伸びてしまうんだよね。1日に何度も触ることもあれば、1回しか手に取らない時もあるけど、もう持ってないと落ち着かないんだよ。旅に出る時も持っていくしね。やっぱり自分の宝物ってさ、毎日眺めたくなるじゃん? 今もそんな感覚がずっと続いているんだよね。

しかも毎日弾いていると、いまだに「新しい発見」をするんだよ。それが楽しいんだよね。例えば……日課として必ず弾くのが、童謡の「赤とんぼ」、ザ・ベンチャーズの「ブルー・スター」、スティーヴィー・ワンダーの「ユー・アンド・アイ」の3曲。それを原曲どおりに演奏するのではなく、毎回アレンジを変えながらギター1本だけで成立させられるように弾くんだよ。それが俺にとっての「練習」と呼べるものなのかもね。

#3 天邪鬼Amano-Jack

『天邪鬼Amano-Jack』Char

「赤とんぼ」は、16年前の『天邪鬼Amano-Jack』(2005年)で「エレキ・ギター1本で表現してみよう」と取り組んだのがきっかけで、いろんなアレンジを試しながら今も弾き続けている。「シンプルなメロディをいかに新しい響きで彩れるか?」ってことは、自分にとってもすごくチャレンジなことで、やっていて飽きないんだよ。Cのコードでも、C/Eなのか、C/Gなのかで響きの表情は変わってくる。聴いている側にとっては「夕陽の沈み方の違い」くらいの変化かもしれないけど、俺にとってはとても重要なことなんだ。

「ブルー・スター」は、ベンチャーズの中でもメロディが美しい1曲。「キャラバン」よりも、ギターを歌わせられるから好きなんだ。スティーヴィー・ワンダーの「ユー・アンド・アイ」は、ピアノの弾き語りをギターで完璧に耳コピすることに挑戦した1曲だね。何かしら課題を自分に課して演奏しないと、すぐにいつもの自分の手癖に戻って終わってしまうんだよ。そうなるとギターを弾くのが「つまらなくなる」。ギターの演奏って言葉と同じようなところがあってさ、新しいボキャブラリーを取り込むと自分の語彙力が増して、いろんな言い回しで音楽を表現できるようになっていく。しかも世界中のさまざまなミュージシャンと音楽を通じて会話することができるようになるんだよね。

#3 ブルー・スター

『ブルー・スター』ベンチャーズ

そのほかにもオクターブを変えてみたり、低い音を開放で鳴らしながら高い音と組みわせてフレーズを作ってみたり、スムーズにコード・チェンジができる方法を探してみたり……ギターという楽器ならではの特性を活かしながら、いろんなやり方で新たな可能性を模索している。そういう考え方は「編集」に近いかもね。「どこかエディットできるところはないかな?」ってイメージすることは多いかな。

Chapter 2 ギターは手に取れる場所に置いておくべし

手に取ったらすぐに音が出せるのもギターという楽器の素晴らしいところだよね。立ってようが、座ってようが、横になっていようが、自分の感情をすぐに音として響かせることができるから。しかも気軽に持ち運べて、誰でも音が出せるというのが、ほかの楽器にはないギターならではの魅力だと思う。手に取ってから何をやるかは各自の自由だしね。コードを覚えて作曲するもよし、小脇に抱えて弾き語りで歌うもよし、アンプとエフェクターを使って爆音でかき鳴らすもよし、気の合う仲間たちとバンドをやってもよし。本人の進みたい方向へ自由にアプローチしていけばいいと思うよ。音楽や楽器演奏というのはそうであるべきだと感じているからね。

俺は普段、家ではアコギを手に取ることが多いかな。アコギで表現できないものはエレキを持ったって表現できないと思うからね。

Chapter 3 自分のプレイを録音すべし

パッと思いついた発想をどうやって残すかというと、譜面か録音になると思うんだよね。でも、一瞬のひらめきを記録するのに時間がかかってしまうと、せっかくのアイディアを忘れてしまいかねない。今はスマホのボイスメモのおかげで、思いついたフレーズをすぐに録ることができるから、すごく重宝しているよ。

しかも自分の演奏を聴き返してみることで、改善すべきポイントを自分で理解することができるんじゃないかな。上手に弾けているかどうかだけでなく、リズムに対するアプローチ、サウンドメイク……過去の自分から学べることって、いろいろあると思うよ。

今やパソコンだけで自分の音楽を完結できるようになったのも大きいよね。俺がギターを始めた頃と圧倒的に環境が違うと感じるのは、以前は作品を制作するとしたらスタジオを借りてレコーディングしなければならなかった。でも今はDAWソフトを使えば、ひとりで作れてしまう。しかもネットを介して世界へ向けて発信することもできてしまう。最近、バンドマンではなくソロイストが増えているのも、そういう理由も関係しているのかもね。

ただ俺の考えでは、「人前でライブをするか/しないか」で圧倒的に弾き手の「表現力」に差が出てくると感じるんだよ。ライブハウスでもストリートでもネットでもいいんだけど、自分のことを観てくれる人がいるのは、表現者にとってすごく大切なこと。自分の音楽を直接届けられるステージがあって、それを楽しんでくれる人がいるという喜びは何物にも代え難いことだよね。

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Chapter 4 ギターそのものを楽しむべし

ギターを楽しむ上で大切なのは、その人の「弾きたい!」という欲求はもちろん、「自分に似合うギターを手にする」ということだね。価格は安くてもいいから、自分がカッコいいと感じるモデルを探すべきだよ。まずは「手に取りたい!」って思わないと、音が鳴らないじゃん(笑)。音が鳴らないと音楽は始まらないからね。

自分がギターを持って武道館のステージに立っている姿を想像してみたり、女の子からキャーキャー言われる姿を想像してみたり……そんな風にギターを弾く理由が音楽的じゃないほうがモチベーションが上がる人もいるんじゃないかな。俺は……今でもそうかもしれない(笑)。そういうところも含めて、ギターや人に「あこがれる」ってことは大事なことかもしれないね。ギターを手に取るだけで自分の世界がどんどん広がっていくから、いつだってギターを弾くのはオススメだよ。

2021年12月11日(土)には、デビュー45周年記念ライブ「Char 45th anniversary concert special」が東京・日本武道館で開催される。