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司馬遼太郎生誕100年からの連想 上村洋行

 文・上村洋行(司馬遼太郎記念館館長)

司馬遼太郎記念館 ©文藝春秋

 司馬遼太郎の命日である2月12日は菜の花忌。例年、この日の前後に、東京と大阪交互で司馬遼太郎賞の贈賞式とシンポジウム(司馬遼太郎記念財団主催)を開いている。今年は生誕100年の節目の年、期せずして同日に司馬遼太郎記念館近くの東大阪市文化創造館で開く。シンポジウムのテーマは「司馬作品を未来へ」。次世代に司馬作品が読み継がれるだろうか、読まれるとすればどの作品で、どんなメッセージが託せるだろうか、そのあたりを識者の皆さんにお聞きしたい、と思った。

 生誕100年ということでことさらに財団や記念館で何かをするのは控えた。自己顕示欲が少い司馬遼太郎のことを意識したからだが、菜の花忌の催しには反映させたい。そう考えながら準備に入ると、財団や記念館活動のことが脈絡もなく浮んできた。

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