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素顔の牧野富太郎 朝井まかて×牧野一浡×田中伸幸

土佐の自然児は生涯「好き」を貫いた/朝井まかて(作家)×牧野一浡(牧野記念庭園学芸員)×田中伸幸(国立科学博物館植物研究部陸上植物研究グループグループ長)

 牧野 NHKの朝ドラ「らんまん」の放送が始まって、牧野記念庭園にはありがたいことに1000人近い方がいらっしゃいますよ。
 
 田中 1日に1000人ですか!? それはすごい。
 
 牧野 これまで、平日の来園者は15人くらいでしたから飛躍的な増え方です。練馬・大泉学園の片隅のあの小さな庭園に、ですよ。
 
 朝井 嬉しい悲鳴じゃないですか(笑)。
 
 牧野 そうなんですけどね、朝ドラって本当にすごい……。朝井さんが5年ほど前に、富太郎をモデルにした小説(『ボタニカ』祥伝社)の取材のために来てくださった時なんかは、まさかこれほどまで知られるようになるとは思わなかったけれど。
 
 朝井 そうですねえ。「日本植物学の父」と呼ばれるほどの功績を残しているのに、メジャーな人物ではなかったかもしれません。
 
 田中 植物分類学という学問自体、地味ですからね。私の専門でもありますが(笑)。だから、牧野先生をモデルにした朝ドラをやると聞いた時には驚きました。
 
 彼の生涯をたどるとなれば植物は欠かせませんが、花には季節がありますから時季を狙って撮影なんてとても無理だろう? と。

「故郷の香り」バイカオウレン

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