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西川美和 あめ、ときどき ハコウマに乗って28

 黒澤明監督の『素晴らしき日曜日』を観直した。昭和二十二年。まだ監督五年目の作品で、戦後の貧しい恋人同士の休日を描いた物語だが、あの『七人の侍』と同じ人? と疑ってしまうほどゆるくておぼこい一作である。しかしそんな中でも、後に「黒澤天皇」と呼ばれてゆく片鱗を感じる雨のシーンがあった。

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