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エンターキーが分からない娘

昨夜、娘が無料体験プログラムを利用して、数学のオンライン講座を受けました。普段の教材からは学べない、エレガントな解き方を教わったそうで、感動していました。

今朝になって聞いたのですが、途中でチャット機能を使い回答を送る必要があったようですが、文字は打てても送信するボタンが分からず、1人ずいぶん遅れて送信することになったそうな。

分からなかったボタンとは、enterキー。returnキーの方が通じの良い方も多いことでしょう。PC-98時代はreturnキーが日本では主流の呼び方だったと思います。Macも確かreturnキーがあったような。調べてみると、メインのキーボード部分にはreturnキーがあり、テンキー部分にenterキーがあったそうで。今のMacは記号だけになりました。

娘は小学生時代には授業でもパソコンを使っていますし、パソコンクラブに入って何やら作成して持って帰ってきたこともあります。ローマ字入力も、いっときはタッチタイピングの練習をさせたので、そこそこには打てると思うのですが、そんな娘でも、初めての画面になると、enterキーを押すというのがピンと来ないわけです。

LINEでもiMessageでも、専用の送信ボタンが備えられています。チャット欄というのは初めての経験だったのでしょう。今後は同様のシーンがあっても、送信の時にはとりあえずenterキーを押してみるというのは、身についたと思います。

これを予習的に身につけさせようと思うと、これはなかなか難しい。先にも書いたように、ワープロソフト的なものはパソコンで扱えるのです。当然改行のためにenterキーは使っています。

LINEなどのSNSアプリも人並みに使える。それだけ使っていながら、入力した文字を送信するという操作につまづいてしまうんです。一体何をどう教えたら良いのか。

闇雲にとりあえずenterキーを押してみろ、という乱暴な教え方で良いものでしょうか。それとも、なぜenterキーが送信操作に使われるようになったのかに遡って教えた方がいいのでしょうか。

世の中のすべてのことが歴史の上に成り立っているように、パソコンやタブレット、スマホの操作もすべて、歴史の上に成り立っています。その歴史を知れば、未知の操作についても自然と想像がつくようになるのですが、20年前ならいざ知らず、今から電子デバイスの歴史から学ぶと、かなりの事象を学ばなくてはなりません。

ドッグイヤーと呼ばれながら進化してきた領域です。短い期間に、濃縮された歴史が詰まっています。私はちょうどその時代をその領域の中で生きてきたので自然に身についていますが、これから学ばなくてはならない人たちは大変です。

未知の操作に見当をつけられるようになる、トラブルに際して自力で解決できるようになる、そのためにはこの歴史を学ぶというステップは必要不可欠とは思います。それまでの積み重ねを無にするほどの技術の大転換でもあれば別ですが。

技術の側がもっと歩み寄ってくれれば、例えば、enterキーを押しても送信できるけど、画面上に送信ボタンが表示されているという、今なら当たり前のUIを備えていれば、悩むことなく使えるのです。しかし、そこまで気を配って設計するというのは実際にやってみるとなかなか大変なことであり、送信ボタンだけならともかく、実際にはもっといろんなシーンで利用者の混乱を防ぐように先回りしてUIを設計する必要があって、偏見ですけれど、日本のIT技術シーンでは後回しにされている部分だと思うので、あんまり期待できない。

期待できないなら、利用者の側が対応できるようにするしかないけど、それはそれでなかなか大変なのですよね。

問題解決のための議論はこうして堂々巡りを迎えるのです。たかがenterキー、されどenterキー。深いです。

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