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#アイのない恋人たち【朝日放送】

今期のドラマもいよいよ大詰め。

ということで最終回を迎えた作品から順に語っていこうと思います!
まずはこちら。

「アイのない恋人たち」ビジュアル

現代アラサーの等身大な恋愛事情を遊川和彦さん脚本で描いた本作。

遊川さんといえば、「家政婦のミタ」「過保護のカホコ」「同期のサクラ」「35歳の少女」など、人間の“痛々しさ”を高解像度に描く印象ですが、本作の登場人物たちも、男性陣女性陣ともになかなかに痛々しい…

そしてこのドラマ、珍しく同世代の友人間で毎週話題に。

どういう痛々しさで、どう視聴者に刺さっていたのか、私なりに考えてみました!

▪︎あらすじ

久米真和(福士蒼汰)は、33歳独身の売れない脚本家。ある日、高校の同級生の淵上多聞(本郷奏多)と郷雄馬(前田公輝)に15年ぶりの再会を果たすも、三人そろって独身かつ彼女なし。真和は愛、雄馬はeye(見る目)、多聞はI(自分)のないアラサーになっていた。
一方、脱サラしブックカフェを経営する今村絵里加(岡崎紗絵)は、31歳まで男性経験ゼロ。ある日、店を訪れた同年代の近藤奈美(深川麻衣)の積極的な婚活姿勢に触発され、同じく客の富田栞(成海璃子)と3対3の合コンを開催することになるのだが…

公式サイトより(一部要約)

“愛” “eye=見る目” “I=自分” で
それぞれ“アイ”のない人

「めっちゃうまいこと言ってる!!」と1話から感動。

▪︎恋愛経験格差を赤裸々に

高い水準を保ちつつある20〜30代の独身率、20代後半にして男性経験・女性経験のない人も最近は珍しくない社会に。

本作でも絵里加(岡崎紗絵)や多聞(本郷奏多)はそういったコンプレックスを抱えており、彼らの心の内や悩みがかなり赤裸々に描かれます。

かなりカタブツな絵里加氏

多聞においては、回を重ねるごとにどんどん自暴自棄になり、風俗を利用し無理やり経験をしようとする…

経験がないことを自分が一番気にしている多聞

一方で真和(福士蒼汰)は誰がどう見てもモテる容姿と人柄でマッチングアプリを駆使して何人もの女性と関係を持ち、“恋愛は遊び半分”という俗にいう経験豊富なクズ男。

こういう“恋愛経験格差”はセンシティブがゆえ実際友人間でも話しづらいけれど、確実に存在するもの

周りに打ち明けられない恋愛コンプレックスに悩む絵里加や多聞の等身大の姿は痛々しいですが、リアリティを追求した現代の恋愛ドラマにおいて語られるべき姿そのものであったように思いました。


▪︎毒親たちによるトラウマ

やれ結婚だのやれ子育てだの、適齢期=将来に向き合う時期を迎えた6人の前に無数にある人生の選択肢。

それぞれが「どう生きたいのか」迷いながらも、目の前には様々な壁が立ちはだかります。

特に印象的だった描写が、それぞれの“毒親たち”

育児放棄し蒸発していた真和の母、引きこもりの兄を甘やかし続ける絵里加の両親、箱入り娘に自由を与えない奈美(深川麻衣)の母など。

この毒親たちがなかなかに強烈で、救いようがない……

家庭環境により抱えたトラウマや価値観は30歳を過ぎてもなお彼らを縛り続けます。

こんなロミジュリみたいなカップル、現代にいるの!?

誰だって親は選べない。
当たり前だけど残酷な現実。

しかし最終回で奈美が言っていたように、彼らを今の彼らたらしめているのは間違いなく“親の存在”があり、それを理解したうえで自身と向き合い、相手と向き合い、自分の意思で恋愛をし、将来を切り開いていかなければならない。

生まれたときから人間関係は始まっているんですよね…

「生きるって難しいよな…」と改めて痛感させられました。

▪︎もう一つのテーマ:大人の“友達”


家庭環境含めそれぞれのトラウマを抱えた男女の恋愛ドラマと思いきや、7話に奈美の口からこんな台詞が。


「わかったんです、私たちの共通点」

「3人とも、友達がいないんじゃないかって……」


えっと…そういうテーマ…?

戸惑いましたが、確かにこの作品、最初から“友達”という関係性を土台に描かれている。

いいバランスのスピッツ大好き男3人衆

真和と雄馬と多聞は高校時代からの親友で再会を果たし、絵里香と栞と奈美は同世代で恋愛コンプレックスを抱える者同士意気投合したことからいつしか頻繁に連絡を取り合うようになる。

アラサー女はいつだって深刻(わかる)

それぞれが人生の選択をするとき、もう二人の意見が大きく影響するように、結局、大事なことって自分一人では決めきれない。近くにいる信頼できる相手の助言が欲しい、そういうものです。

実は、社会人になってから(そういう本当の意味での)友達を持つことって、恋愛するより難しいんじゃないかな、と思います。

これは今の現代人にも言えること。

「友達と呼べる人が少なすぎるのではないか?」

そんなメッセージ性を感じました。



このように数々の「痛いところついてくるなぁ〜」に喰らった本作。

特に彼らと同世代の視聴者(私もその一人)には刺さる台詞や描写も多く、これも“人間の痛々しさ”を描く遊川さんの狙いだったのか…?


それでも自らの未熟さを受け入れ向き合っていく6人の姿には勇気をもらえました!


それにしても今回の福士蒼汰は今までに見ない色気があって素晴らしかった……

演技合戦を見せてくれた役者さんたちの次なる作品もこれから楽しみです!

▼公式サイト

#アイのない恋人たち #福士蒼汰 #岡崎紗絵 #恋愛ドラマ

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