エレファントマン11/7昼感想

当日は終わってすぐ飲みに行っちゃったので覚えていることを今更ながら書き留めておきます。今回もネタバレ含みますので注意です。


全体を通してお芝居を変えてきたなって箇所がちょこちょこあって面白かった。どんぐり頭たちの芸のシーンとか、カトウドウブツーーー!って叫ぶ感じとかが微妙に変わっていた気がする。今回の舞台は初日後も稽古があるって共演者の方のブログに書いてあったから、どんどんブラッシュアップされていく様子が見られて楽しい。


リヴァプールストリート駅で警官と添乗員とメリックの3人のシーン、ここはやっぱり何度見ても苦しくて泣いてしまう。お金を取られてひとりぼっちになって絶望の淵にいるメリックがかわいそうすぎて。添乗員はロスからお金を受け取っているから分かるけど、警官はどうしてメリックを助けてくれたのかな。一旦はロンドンから追い出されたのに。助けた割にメリックに対して酷いことをするしよく分からない人。


トリーヴズ先生に「規律を守れば、幸せになれる」って復唱させられるシーン、生まれて初めて自分の家が出来た喜びと普通の人のようになりたいっていう切実な思いが結果的にウィルやウィルの子供達を見捨てることになってしまうということにメリックは気付いているのかな。だから少しだけその話題に触れようとするけど理事長やトリーヴズ先生には全く通じないわけで。自分の身を守るためにも素直に言うことをきこうと判断したのかな。子供達が救貧院に入れられるかもしれないのに、苦しすぎるだろうね。どうにもならない、自分にはどうすることもできないもどかしさや悔しさ、悲しみや深い闇が最後のゴォン、ゴォンと叩き続けているメリックから感じ取れた気がする。


ジョン卿とトリーヴズ先生が揉めていて、その後の理事長との会話をずーっと盗み聞きしているメリックは何を思ったんだろう。その後の台詞にもある通りトリーヴズ先生がトラブルに巻き込まれたら自分が追い出されるかもしれないと心配しているのかな。メリックが発する「契約」という言葉にすごく嫌な感じがした。最初はトリーヴズ先生が善意で保護してくれたと思っていたけど、今はメリックを病院に住まわせることは契約だと思ってるってこと?先生の善意の裏側に見え隠れする醜い部分に気付いてしまったのかな。

その後にケンダル夫人が服を脱いだところにトリーヴズ先生が入ってくるシーン、メリックに向かって「自分の立場が分かっているのか?」って言葉が悲しい。普通の人と同じようにしてやりたいと言っていたくせに、結局先生もメリックを差別してる。下に見てる。物凄く悲しいけどメリックはそれも分かった上で受け入れている気がする。

メリックが「先生は慈悲深い、思いやりがある。僕がその証拠だ。でしょ?」と問いかけるのに先生が何も答えてくれないのも物凄く辛い。「違う?そうじゃないの?」って悲しそうに聞くメリックに胸が苦しい。先生は自分の本当の姿に気づき始めていて混乱しているし、もうどちらも辛い。


最後の方は椅子から立ちあがるのもとても辛そうに、杖に全身を預けてふらふらと弱々しく歩くようなお芝居になっていてメリックの命がもう長くないことを表現していた。ここも今までになかったところだね。


ずーっと心が苦しいし辛いから、カーテンコールの最後にのぞむちゃんがふんわり笑ってくれると物凄く救われる。天使。


余談だけどこの公演の時は終演後すぐにスタッフの方が大声で規制退場のアナウンスをしてくれていてお客さんもきちんと指示に従えていたのでよかった。今までなかなか規制退場に気付けない人もいたんじゃないかなと思うんだよね。ある程度通路まで出ちゃってから気付く人をちらほら見かけてたので、今後も今回みたいにスムーズに誘導してくださると助かるね。


もうすぐ折り返し。毎回見るたびにいろいろな思いや疑問が浮かんできたり新しい発見があって楽しい。どうか千秋楽を無事に迎えられますように。