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なおも深化する「Endless SHOCK」大阪公演(2024)

先日まで梅田芸術劇場で行われていた「Endless  SHOCK」を3回ほど観劇してきました。実に18年ぶりのふぉ〜ゆ〜不在SHOCKらしいです。ふぉ〜ゆ〜のいないSHOCK、別作品だった。私は観ていないけどツバサに近いのでは?と思った。

まさにこのポストの通りで、今まで感じたことがない「Endless  SHOCK」がそこにはあった。
今までヤラ、ウチ、タツヤ、ショウリ、ヒロミツと歴代ライバル役を観てきて、劇場も帝国劇場、博多座、そして今回の梅田芸術劇場と全箇所で観劇できました。博多座は1階前列で観たけど迫力がすごかったので味わってほしい。あの臨場感は帝国劇場に存在しない。梅田芸術劇場は3階席で見えるか不安だったけど想像より見えて安心した。

と話題が逸れてしまったので冒頭に戻ります。
「内部舞台の最高峰」のつもりで観に来たら「堂本光一以外外部」の舞台だった。スケジュールが発表されたときから唯一の未踏の地である梅田芸術劇場、そして過去にライバル役で出演していたけど観たことがないユウマ。行かない選択肢はなかったけど行ってよかった。

序盤〜Yes, My Dreamくらいまでは今までの「Endless  SHOCK」として観ていたのですが、ONE DAYでコウイチとリカを挟んだ上手にバッテリーコンビ(ユウマ&タカダ)、下手に元宇宙Six(ショウタ&ハラ)が揃った光景を見た瞬間に長年事務所ウォッチをしている人間としてはSHOCKでこんな光景が見えるなんて……と思いました。堂本光一は彼らの背景すら理解してこの布陣にしたのかと思うと怖ろしい男だと再認識した。
そしてこのONE  DAY、ユウマはリカにプロポーズするために後を追っかけて屋上に行くと目の前でリカがコウイチにネックレスを渡している瞬間を目撃してしまい──、という哀しいシーンがあります。その光景を目撃したユウマはリカに渡すはずだったリングケースを思わず落としてしまう。
こういう細かい“小芝居”が大阪公演にはたくさん散りばめられている。とにかく各キャストの解釈、再構築、演技力が凄まじい。

場面は進み公園のシーン。
いつも通りユウマがリカに告白しようとして躱され(ユウマがリカにラブコールを送る後ろで「無理だろ」と飽きれ顔をしながら踊るカンパニー一同が等身大で良かった)、あれよあれよと指輪を強盗に奪われてウエストサイドストーリーの開始。あーリカが何故か男性陣を守っていてとても良かった。
その後にストリートパフォーマンスをしているドラマーを見てCONTINUEが浮かび口ずさむコウイチ。それを「素敵!」とキラキラした目で見るリカ。一方でそのコウイチの姿を見たユウマは、コウイチの凄さを感じて自分はコウイチに勝てないと再認識させられてしまうシーン。ここのユウマの演技も口にこそ出さないが表情で語っていた。
そうこうしていると新聞の一面にコウイチが載っていることを知るカンパニー一同。「♪見て、コウイチの写真」「♪新しいスターの誕生」「♪俺たちのカンパニー」「♪まもなくメジャーデビュー」と続く、正直に言うと何回も見ていて特に感銘を受けたことがなかったシーンだったのですが、ここのカンパニーの喜びっぷりが本当にすごくよかった。インディーズバンドがメジャーデビューしちゃうかも!?と浮足立っている感じ。こんな喜んでるカンパニー初めて見たかもしれない。だからこそオンに行くことを決めたカンパニーの未来がああなってしまうことの悲劇性がより際立っているように感じた。
ここら辺からユウマとコウイチの溝が深まっていく大切な場面なのですが、舞台ならではの遊び心がありリュウセイがふざけたリュウタ(またはタカダ)を丸めた新聞で殴るんですよ、まさかの笑。
その後に逃げたユウマを追うべきか迷うリュウセイに対していつもは「リュウセイ、大丈夫。ユウマのところ行ってこい」と送り出すシーンなのですが、コウイチがあのトーンで「リュウセイ、ナイススイング」って言い出したときはギャップで笑いが止まらなかった。今あのスイングを褒めるターンではない。さすがに天然すぎるよ。

そしてカンパニーはオンへ。チームUSAのイントロダクションから始まりキラキラのステージ。Dancing On Broadway、Memory of Skyscrapersからのライバルソロ曲「MOVE ON」。今まではライバルごとに違う曲が描き下ろされていたけど2022年のショウリからMOVE ONに固定化。固定化されたことで各ライバル役の対比がくっきりしたように感じる。
ショウリはアイドルのような煌めき、ヒロミツはコウイチを宿したかのようなアダルティ、ユウマはMOVE ONという曲を当て書きのように歌いきっていた。今までこの曲で手拍子が起こったことはないと記憶しているけどユウマの勢いに釣られて手拍子が起こりまさに会場が「一体化」していた。その熱気冷めやらぬ劇場を一瞬で支配するコウイチの静寂──梅芸の「SOLITARY」はコウイチの孤独さ、孤高さが際立っていた。

「MOVE ONで劇場をあれだけ掌握したユウマにとってSOLITARYで受けた屈辱は耐え難いものだったのでは」といった趣旨のポストを見て、恥ずかしいながらライバル曲〜SOLITARYを地続きで見たことがなかったんだなとハッとさせられました。なんだろう、今まではSOLITARYからを悲劇の始まりだと受け取っていたかな。それくらいセンテンスが違うし。でもたしかにあれだけ成功を収めたステージの後で自分軸ではない変更についていけず、リカとの大切な見せ場をコウイチに奪われたことはユウマにとって屈辱でしかない。

SOLITARY終わりのバックステージ
ここからが梅芸チーム、舞台班の本領発揮です。SOLITARYでのミスで荒れ狂うユウマに困るタカダがコウイチに相談するも、コウイチはオーナーに対応するためタカダに任せてしまう。とうとうコウイチの前でスタッフを怒鳴るユウマ。それを「お前以外は客に気付かせずに対応した」と叱責するコウイチ。そうしてユウマが「じゃあ言うけどさ!」と切り出すのですが、この一言の言い方がすごくユウマなんですよ。これは観た人にしか伝わらないけどユウマはコウイチから逃げないんですよね。
ショウタ、タカダ、ハラ、リュウタ、タツル、リュウセイは実のところコウイチの良き理解者というよりはユウマの良き理解者であることもこのカンパニーの興味深い点だった。故にコウイチが孤独に感じる。だからコウイチ以外のカンパニーの面々は「二幕始まる前にそれ言うかなあ……勘弁してくれよ」という気持ちがどこかにあるように感じた。

今までの公演ではコウイチとライバル役の間で板挟みにあう可哀想なカンパニーとして見ていたけど梅芸チームは全員確かな「自我」があるんですよね。
特にタカダとハラ。タカダはユウマをすごく心配しているのが痛いほど伝わってくる(ユウマくん大丈夫かな…みたいな少し頼りない感じのタイプ?笑)。
ハラは心配というよりイライラしてるし、ショウタは優しいからみんなが傷付かないように安心安全な二幕に向けてどうすべきか考えている、リュウタもムードメーカーとしてどうすべきか?を考えていたんじゃないかな。タツルとリュウセイはバラバラになっていくカンパニーを止められないもどかしさ、そんな全員の思いがステージにあった。
一通り言い争いをした後に二幕開始5分前を告げる運命のブザーが鳴り響く。ショウタがハラに「刀、チェックしておけよ」といういつものやり取りでハラが「…チッ、わかってーよ」と投げやりな返事をしている。そしてこのやり取りが続くハラの悲劇をより強調しているように感じた。

ジャパネスク
殺陣のシーンは専門家ではないので省略。とにかくすごい。全員怪我なく立ち回れるってすごい。
殺陣の後半で追い詰められて階段から落下するタツルとリュウセイ。ここもただ二人がコウイチという狂気に怯えるだけではなく、タツル「お前がいけよ!」リュウセイ「うるせえ!」といったたった一往復なのですが台詞が加えられていました。これがすっごい良かった(帝劇でもやってたらゴメン)。

そうしている間にコウイチは階段上にいるユウマに迫り、ユウマはわざとミスしたかのように刀を遠くに投げる。ショーを止めるわけにはいかない、必ず誰かが予備の刀を持ってくる。そうして予備の刀(真剣)を一目散に階段を駆け上ってコウイチに向けて差し出すハラ。ここからのハラとコウイチのやり取りがめちゃくちゃ良い。良すぎてずっと泣いてたし、思い出して書いてる今も泣いてる。
今書いてて思ったけど本編ではハラが予備の刀を持ってくるけど、これがショウタだったら本物の“予備の刀”を差し出してそのままショーが進んでいたんだろうなって思う。ショウタはそういう人間だ。
話は戻り、ハラから差し出された刀を鞘から抜いたコウイチはその瞬間にその刀が「本物」だと気付く。それを階段上から眺めているユウマは「これでショーはストップ!俺の勝ち!」とさぞかし有頂天だったであろう。コウイチは本物の刀であることをハラに気付かせたいかのようにハラに向かって刀身を執拗に向ける。今までこんな動揺してるコウイチを見たことがなかったような気がして新鮮だった。「あれ?もしかしてコウイチ止めたがってない?」と感じたのは初めての感情だった。ここでハラが気付いていればストップできていたかもしれない。しかしハラはコウイチとユウマの様子がおかしいことに気付きながらも原因は分からないままショーは続き、コウイチは“予備の刀”をユウマに突き出す──。
ここからハラの慌てふためきようがとても良い。何かはわからないが只事ではないことを理解して階段上から舞台袖に向かって「スタッフ!」「“予備の刀”を持ってこい!」「おい!」と叫ぶハラ。この予備の刀〜は私の聞き違いでないと思うんだけどその台詞がパッと出てくる原嘉孝という役者のことが恐ろしく思えた。こんないい台詞がまだ隠されていたなんて。
そんな大声で叫ぶハラのことはアウトオブ眼中で狂気を身にまとったままユウマに突き進んでいくコウイチ、そしてとうとうコウイチ刃を向けてしまうユウマ。
ここ不思議なことにハラを見ているとコウイチがいつの間にか階段落ちしてるんですよ(実話)。SHOCKの代名詞といえば「階段落ち」であって、何があってもあのシーンが霞むわけなんかないのに、ハラに目を奪われている間にコウイチが階段から落ちてる。ビックリした。
階段の下で呻くコウイチに駆け寄るオーナーをはじめとしたカンパニーの面々。一幕最後はいつもだとマツザキの「コウイチ!!!!!」という叫びで終わるのですが、いつもそれをショウとして見てきたタカダが叫ぶ「コウイチィィィ!!!!!」の感情の乗り方が尋常じゃなく良かった。

一幕だけで4000字オーバーしたので終わりにします。
二幕は私の心のなかで生き続けます。記憶無くしました。


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