視力検査で感じたグルーヴ
視力検査の1番上の大きなヤツが見えないレベルの視力になったことは、健康に産んでくれた両親に申し訳ないと思っている。
かれこれ長い年月、コンタクトレンズのお世話になっているので、定期的な検査も続けているのだが、去年から職場で指示される健康診断とは別に人間ドックを受診しており先日も受診した。
項目はほとんど健康診断と同じではあるが、この大きな病院の視力検査担当者は独特だった。
やることはまあ想像を超えてはいない。
はいはい、丸の切れ目を言えばいいんですよね。それだけの話である。
自分1人で覗き込み回答の捜査まで行う施設もあるが、ここでは担当者が操作して画面表示された、丸の欠けたところを自分で答えるパターンの検査方式だった。
特筆すべきことなどない。
検査がスタートした。
検査員「はい、これは?〜」
わたし「うーん…右」
検査員「そうです、では次〜」
想定通りの流れを繰り返す。
検査員「はい、これは〜?」
わたし「うーん…」
検査員「はい、がんばって〜」
わたし「下ですかね」
検査員「はい、では次は〜?」
わたし「…(凝視)」
検査員「はい、なんとなくでも〜?」
わたし「うーん」
検査員「はい、できるだけ〜」
わたし「右かなぁ」
検査員「はい、少し小さく〜」
わたし「んー…」
検査員「はい、よーく見て〜」
このままだと、
「はい、よっこいしょ〜」
とか言い出してしまうのではないか、この方。
長考するわたしが悪いのはあるかもしれないが、検査員の方のことばのリズムがまるで合いの手で、餅つきをしているような一定のビートを刻んでいる。
思わず吹き出しそうになるのをこらえて、いつものコンタクトレンズ購入時の検査よりもはるかに多い回数の右と左と上と下を繰り返して検査は終わった。
最後に検査員さんは
「右が2.0 左が1.8でした、いいですか?」
あんなに息が合っていたわたしたちの餅つきリズムは、さっと事務的に終わりを迎えた。
※視力検査はメガネ着用にて。もっと見えていない気がするのだが…
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