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CRYE JPC PROTOTYPE

CRYE PRECISION JPCは世界で多く普及するプレートキャリアですが,JPCを発表した2010年当時,今日の形とは大きく異なっていました。

画像 2010年 ショットショー CRYE ブース
https://reload.militaryblog.jp/e108218.html
2011年 ショットショー CRYE ブース
JPC"プロトタイプ"は展示されていません。
https://youtu.be/knRsrZtFOeE


現在の形に近いJPCにモデルチェンジしたのは,2011年でこの2010年~2011年の1年間に製作された初期モデルのJPCをJPC プロトタイプと呼ばれています。
この記事ではJPC プロトタイプの特徴や使用されていたシーンを記します。

後発JPCの改良点

2011年に発売された後発のJPCは,"Jumpable Plate Carrier"の理念は変わらず引き継がれながら,かなり改良され別のプレートキャリアのような機能性になっています。
改良された点を纏めると、

•ショルダー部分をハイパロン素材へ変更
•胸部分の収納を追加
•背面ベルクロの廃止,モールの追加
•サイドプレートポーチの廃止
•カンガルータイプのマガジンポーチ追加

等,多くの変更がされています。
以下にJPCプロトタイプの変更される前の画像を示します。

まずJPCプロトタイプのショルダー部分MULTICAMのコーデュラナイロンが2枚張り合わされただけです。
これは後にハイパロンという合成ゴム素材に変更され強度が上げられました。
JPCプロトタイプのショルダー部分は強度的に難が有り放出される品もショルダー部分が補修されているものが多く有ります。

ショルダー部分が補強されたJPCプロトタイプは複複数放出されています。

JPCプロトタイプはプレートポーチ上部がベルクロが2本縫われておりシンプルな形状です。
ここは改良され,フロントがモール+アドミン収納の追加
リアがモールのみに変更されています。
後に改良されたJPC2.0ではリアプレートポーチにもモール兼ベルクロの改良がされています。

例外的にリアプレートポーチも全てモールとなっているJPCプロトタイプも複数放出されています。
@Spartan_z_300 さん所有JPCプロトタイプ
https://twitter.com/spartan_z_300/status/1074092943818944513?s=21

JPCプロトタイプはカマーバンドの固定方法も独特です。
JPCプロトタイプにはサイドプレードポーチが元から付属になっており,サイドプレードポーチに挟み込む形でカマーバンドを固定します。
後発のJPCでは,CPCと同じカマーバンドの固定方法となり,カンガルータイプのマガジンポーチが追加となっています。
この固定方法の為,カマーバンドも後発JPCに比べ短くなっています。

また,リアプレートポーチ部分カマーバンドの固定方法もパルスウェビングにボタンが付いた形式の物からバンジーコードに変更されています。

JPCプロトタイプは2010年~2011年の1年間の製造でしたが一部部隊に支給され使われていた写真もあります。

この写真は,24年間米陸軍として勤務され,デルタフォースとして8年間働いたJohn R. Steinbaugh氏の写真でJPCプロトタイプを着用しています。
メディックとして働いた経験から退役後,医療品開発を行うRevMedxの責任者となり,新型注射器 X Statの開発や新型止血帯の開発を行なっています。
https://www.revmedx.com


胸の頭蓋のアクセサリーの付いたフラッグワッペンは日本のコレクターが購入し,後に小江戸デッドボールから少数製作のレプリカとして販売されました。(現在は完売となっています。)
AWS スプリットフロントチェストリグと併用されています。

FBI HRTで使用されていた写真
JPCプロトタイプにParacleteやCRYE官給330Dポーチを付けています。

Instagram Xray Alpha氏投稿から引用
左2名がJPCプロトタイプを着用しています。
https://instagram.com/xray.alpha.llc?igshid=gduv90abyrql


Instagram Mike a glover氏の投稿から引用
https://instagram.com/mike.a.glover?igshid=wk89w6v6196b
ParacleteやCRYE官給330Dポーチを付けています。

JPCプロトタイプとEagleマルチパーパスチェストリグと併用されている写真。

JPCプロトタイプを着た隊員の後姿

JPCプロトタイプを着た隊員の背後
チェストリグの固定方法が独特

JPCプロトタイプを着た隊員が1名確認出来ます。

JPCプロトタイプを着た隊員の背後
ハイドレーションポーチの固定方法が特徴的

 JPC プロトタイプを着た隊員が複数確認できます。

上記のJPCプロトタイプはSMUの一部に支給された装備です。
ここでのSMUとは,時として公式報道の行われない Special Mission Unit:秘密部隊 を指します。
SMUには米陸軍のCAG/ACEや米海軍DG等の部隊が含まれ,機密性が高い作戦の他に,装備開発を行う部隊としての役割もあります。

CAGとACEとは,米陸軍デルタフォースの準公式名称であり,
CAG:Combat Application Group 
訳:戦闘適応グループ
ACE:Army Compartmented Element
訳:陸軍別動エレメント
米海軍DG(NSWDG)とは
Naval Special Warfare Command Development Group
訳: 海軍特殊戦開発グループ 

SMU所属の部隊はいずれも装備開発や作戦開発に関わることが部隊名称からも分かります。

JPCプロトタイプは特にCAG/ACEに支給されており,CAG/ACEやこの部隊と共同で作戦を行う部隊にJPCプロトタイプの使用が確認出来ています。

ここからは私見です。
JPCプロトタイプはショルダー部分の耐久性が頼りなく,よくこんなものを使っていたなと思います。
ただ,彼らがJPCプロトタイプのテストを行い,CRYEがフィードバックを行った結果,世界で多く使われる今日のJPCが誕生したものだと思っています。
SMUの装備再現をしているコレクターの皆さんには,自分の再現したい年代にどういった装備開発が行われていたかを想像し,組み合わせを考えるとより面白い趣味になると思います。


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