アジア映画初の快挙〜パラサイト、アカデミー賞最優秀作品賞受賞

映画界最高の賞を決めるアカデミー賞授賞式が行われたLAのドルビー劇場。最後の最後、作品賞の発表に会場に詰め掛けた関係者は固唾を飲んで、司会者の発表を見守った。そして作品賞の名前が記された封筒から取り出した紙を見ながら「パラサイト」とゆっくり読み上げると、会場のポン・ジュノ監督らは抱き合って喜びあった。アジア映画で初のアカデミー賞作品賞受賞の瞬間である。

ボン・ジュノ監督のこの作品「パラサイト半地下の家族」は、全員無職で半地下の家で暮らす一家が、徐々に裕福なIT企業家の家に食い込み寄生していく様を描いたブラックコメディー。作品賞のほか、最優秀監督賞と脚本賞、それに国際長編映画賞も受賞し、なんとアカデミー賞の4冠に輝いた。まさに過去のアカデミー賞に輝いた作品に内容・表現とも匹敵する出来栄だったと言える。

しかもこのアカデミー賞は、ハリウッドで働く監督や俳優・プロデゥーサーなど映画関係者で構成する米映画芸術科学アカデミーの会員投票によって決まるもので、これまではアジア映画はマイナーな映画とされてきた。今回も、ゴールデン・グローブ賞作品賞を受賞した「1917:命をかけた伝令」(英サム・ミンゲス監督)などが本命と噂されていた。それだけに、パラサイト受賞は世界中に驚きをもって伝えられた。

ポン・ジュノ監督は、3年前にはネットフリックスと提携して製作した「オクジャ」でカンヌ映画祭に出品しようとした。しかし、映画祭事務局から「フランスの映画館で上映しない作品は、映画祭に出品する資格なし」とのレッテルを貼られ映画祭から締め出された苦い経験をもつ。

しかし、今回は自主制作の「パラサイト」で堂々カンヌ映画祭にひな壇に上がり、ここでも最優秀作品賞、パルムドールに輝いた。カンヌ映画祭で一矢を報いたその勢いのまま、今度は最高峰アカデミー賞の作品賞オスカーを獲得した、これはもう絶賛に値する。

それにしても、韓国のコンテンツは本当に世界的な評価を受けている。KポップではBTS:爆弾少年が昨年、アメリカのビルボード・アーティストチャートで首位を5週連続して獲得する史上初の快挙を成し遂げている。これもアジア人歌手として初の栄冠だ。女性グループTwiceは、日本やアジアのみならず南米でも絶大なる人気を誇っている。内向きな何処かの国とは、大違いなのだ。



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