はじめに

記憶。

見たり、感じたり、誰かと触れ合ったり、感動したり、恐怖をおぼえたり、どんな些細な出来事も人間は記憶します。
1時間後には約50％を忘れ、24時間後には約70％を忘れると言われています。

人間が忘れていく順番は、
「聴覚、視覚、触覚、味覚、嗅覚」
だそうです。

匂いというものは記憶に深く、残りやすい。

私は2023年11月、一部の記憶を失ってしまいました。
勉強したことも、嫌なことも、楽しかったことも、付き合っていた彼氏の存在すらも分からなくなりました。
約半年～1年間の思い出たちが消えました。
何が原因で記憶を失うことになってしまったのか、全て思い出せることが出来るのか、2ヶ月とちょっと経った今でも分かりません。

突然その場がどこだか分からなくなり、過呼吸になりパニックを起こし、救急車で運ばれ、入院し、検査をしました。
脳に異常はみられませんでした。

病室は観覧車と夕日が綺麗にみえるいいお部屋でした。
彼氏がお見舞いに来てくれました。
ビックリしました。
私の知らない人が、まるで私の事を知ってるかのように、私の好きなものばかりを手土産に持ってきてくれたのです。

彼は終始、目に涙を浮かべていました。
私が思い出せないから。他人行儀だからです。
辛かったです。
きっと大事な人だったんだろうな、と。
とても穏やかで、優しい人でした。
私よりもおっきい、あったかい手。
どこか知ってるような温もり。

少し話したあと、彼に近づいた時にふわりと知っている香りがしました。

覚えていました。

抱きしめた時の細い身体。感覚。匂い。
知っていました。

思い出は全て、私の元から消えてしまったけど、感覚的なことは覚えていて、本能というか直感というか、この人は大丈夫だ、と確信しました。

それから約2ヶ月とちょっと、秋の終わりから冬本番を一緒に過ごしてきました。
たまに部分的な記憶を思い出したりします。
一緒に行った場所、会話、たべたもの。
思い出せた時はすごく嬉しいです。
まだ全ては思い出せていないですが、
もう一度、彼は私にとって
とても、とても、大事な人になりました。

そんな彼との思い出や、私の記憶を記録していこうと思い、noteを始めました。

食、音楽、読書、他にも沢山好きなものをここに記していきたいです。

また、読んでくださった方が、あたたかい気持ちになれるnoteを書き続けたいです。