冬の北海道の話


令和2年1月17日午後7時、仕事を終えて帰宅した私は、大慌てで栃木の自宅を飛び出した。東京に住む友人Aの家に向かうためである。

翌日の18日、B.LEAGUE ALL-STAR GAME 2020が札幌で開催される。その日の朝、羽田からの飛行機に乗るために、一緒に観戦に行くAの家に泊まらせてもらうことにしたのだ。

荷物を抱え、期待に胸を膨らませながら電車に乗り込んだ私のスマートフォンに一通のLINEが届いた。送り主はAだった。


「家の鍵を」

「長岡に」

「置いてきた」



……は!!!!????



さっぽろにつけるかな


令和2年1月17日午後10時、私は見ず知らずの人の家でストロングゼロを飲んでいた。

この日、長岡に出張をしていた友人A。なんとそこで自宅の鍵を落としてきたかもしれないというのだ。業者を呼び、鍵をこじ開けてもらうまでの間、近くに住むAの同僚の家に転がりこませてもらうことになった。
家にあるストロングゼロを飲んでいいと言われたので喜んでいただいた。初対面の人の家に転がりこんだ上にタダ酒を飲む。なかなかできない経験である。

正直なところ私は荷物を全部持っている状態なので特に困らないのだが、問題はAである。自宅に入らないことには出発することができない。長岡出張の翌日に札幌に行こうとするポテンシャルは素晴らしいのだが、こういうところはポンコツである。

どうにかA宅の鍵が開き、私たちは同僚さんのお宅を後にした。そういえば同僚さんにあの時のお礼ができていない。その節は大変お世話になりました。今度美味しいお酒を送りますね。Aが。



レッツゴーさっぽろ!


こんな感じでドタバタとしたオールスター前夜だったが、当日は特にトラブルもなく札幌に到着することができた。

私にとっては初めての札幌遠征である。冬の北海道というだけでウキウキワクワクしていた。


空港を出て、まずはジンギスカンを食べに行った。ビールを飲みながら食べるジンギスカンは最高だった。Twitterを見れば会場の様子がタイムラインに流れてきた。マスコットとのグリーティングを楽しんでいるツイートを見て、期待が更に高まった。


ジンギスカンを堪能した後、会場であるきたえーるに向かった。地下鉄を降りると、会場までを繋ぐ地下通路には出場選手たちのポスターが掲示されていた。

画像1浮かれるオタク



アリーナに入ると、美しいオブジェがお出迎え。

画像2



そして溢れる マ ス コ ッ ト !!!!!

画像3

画像4

画像5



今回私たちが座ったのはアリーナコートエンドペアシート。
通称、飲み放題席。(勝手に呼んでいるだけ)

なんとこの座席、開場からハーフタイム終了までアルコールとソフトドリンクが飲み放題なのである。今の世の中の状況を思えば奇跡のような席だ。しかもテーブル付きである。え?オタク、グッズ置くしかなくない?

画像6置いた。


周りを見れば、様々なチームのファン、ブースター。普段の試合観戦ではなかなか見ることができない光景。まさにお祭りである。



はーじまーるよーーー!!!


折茂さんのユニフォームを着てスキルズチャレンジに出場した富樫選手。
ダンクコンテストに出場したサイズ選手の応援でコートを駆け回るサンディー。

各コンテストの盛り上がりも素晴らしかった。

画像7

画像8

画像9



そしてこんな放送も行われた。

かわいいですね。



試合開始直前には、各チームのマスコットによるパフォーマンス。一度にこれほどのマスコットが集まる機会はなかなか無い。見ているだけで幸せな気持ちになれる。

画像10

画像11

画像12

クチバシ..…….!??



選手入場では各選手の入場パフォーマンスが行われた。キラキラした空間で、キラキラした演出の中登場する選手たち。

画像13

リモート出演を先取り(???)した篠山選手。

画像14



いよいよオールスターゲームが始まった。
様々なチームの選手が混ざり合い、共にバスケットボールを楽しむ姿を見るのはとても面白かった。

自分が普段応援しているチームの選手を、遠方の地で見られることはもちろん嬉しい。しかしそれ以上に、今まで「対戦相手」として見ていた選手と、応援しているチームの選手が共にバスケットボールを楽しそうに行う姿を見ることができ、普段の試合観戦とは異なる喜びを感じた。


試合に勝つことはもちろん嬉しい。試合に勝つために、ひいてはリーグで優勝をするために選手たちは練習をしている。そして私たちファンもそれを見届けたい、応援したいという気持ちで会場に行ったり、観戦をしたりしている。

画像15

画像16

画像17

画像18

しかし、こうした選手たちの表情や、いつもと異なるプレーの形はオールスターゲームだからこそ見られるものなのだと思う。



そして初めてのパシスタスピリッツ。かわいい!!!!

画像19



MVPは引退を発表した折茂選手。MVPが発表された際の選手たちのリアクションもとても微笑ましかった。

画像20

画像21

画像22





こうして私にとって初めてのオールスターゲームは幕を閉じた。
最後までマスコットたちがお見送りをしてくれた。

画像23

画像24

画像25

クチバシ生きてた。良かった。



明日を夢見て


令和2年1月19日午後1時、私は札幌を出発し、東京へ向かう飛行機に乗っていた。

画像26

昨日のオールスターゲームを終えてから、何度「帰りたくない」と言ったことだろうか。明日、私は仕事に行かなくてはならない。また今まで通りの日常が始まるのだ。


これまで、週末にバスケ観戦をすることを楽しみに生きてきた。仕事に追われる日常も、そのために頑張ることができた。


しかし、この日から約2か月後には、楽しみであったバスケはシーズン中止となり、試合を観ることさえできない状況になってしまった。



今季、シーズン開幕を迎えられたことは本当に嬉しく思う。だが、感染症による影響は変わらず大きい。とても楽しみにしていたオールスターゲームも、残念ながら中止となってしまった。




この記事を書いたことで、昨季のオールスターゲームは私にとってとても大切な思い出だったのだと改めて実感した。この日のことはつい昨日のことのように思い出すことができる。仕事で数十分前に言われた指示は忘れてしまうのに。


バスケットボールが好きな人たちが全国から集まり、バスケットボールを楽しむ人たちを応援する。そんなお祭りを心から楽しむことができる日が早く戻ってくることを願ってやまない。その時のために、また頑張ろうと思う。

画像27

それにしてもずっと酒飲んでたな。