突発性難聴を治療する

突発性難聴になったのでそれを治療することになった。何をするかというと薬を飲むことと点滴をうつこと。処方された薬は3種類。血管を拡張して代謝を上げ臓器の機能を改善するもの。細胞の機能や発育を正常に保つためのビタミン剤で末梢神経障害の治療に使われるもの。点滴で胃が荒れることがあるからそれを予防するためのもの。

点滴はステロイド薬。1回30分ぐらいのものを1週間続ける。デカい病院は待ち時間が長いので全部で1.5時間から2時間ぐらいはかかる。

1日目。血液検査と聴力検査と診断を受けてその後点滴。点滴で劇的に改善しないかな?て思ったけど全く変化なし。1回目に針を挿したところがイマイチだったみたいで挿し直し。2回目に挿したところもずーんと痛かった。けど新人ぽかったし、ちゃんと点滴が入っていればそれでいいからにっこりして過ごした。

この病気は1/3の人は治療しても改善しないという。突然発症して、原因は分からず、治療もないというならそれは病気なの?という気がする。身体は元気だし、片耳は正常だから生活はいままで通りできると思う。この時が来たら片耳が聞こえにくくなる予定だったと考えて。

2日目。病院は昨日よりは空いてる。昨日は連休明けで混んでたのかもしれない。今日の針は一発で決まって痛みも少なかった。横になってる間、周りでは看護師が動き回っている。患者から「薬を増やして欲しい」と電話がかかってきてその対応をしてる。別の課か病院かとの連絡についての不満。平和な愚痴が弾んでいた。

診察初日に突発性難聴と診断されて、先生に話を聞いたりネットで調べたりしてこのまま治らず生活を続けることを心の中で受け入れる準備をはじめた。だって原因もないし治療もないとなればそれはもう個性だし。目が細い人、指が長い人、片耳が聞こえにくい人。ある日突然現れた個性。だから不幸なことだと思わない。周りの人にも気の毒に思ってほしくなかった。個性が増えてそれが可哀想なことなのかは自分の受け取り方次第だと思った。自分の周りの人には突然避けようのなかった不調を抱えたことを可哀想だと思ってほしくない。

3日目。今日も点滴だけだと思ったらその前に聴力検査と診察が入った。まず聴力検査。ヘッドホンをつけて片耳ずついろんな高さの音を鳴らして音が聞こえたらボタンを押すやつね。実は昨日の夜から聴力は少し回復してると思っていた。イヤホンつけて音楽を聞いてみると聞こえにくい右耳から治療を始めた頃よりは少し音が聞こえる気がしていた。検査の結果、聴力は少し回復していた。ただ音域によっては全く変わってない部分もある。先生によるとこの先回復が続くかどうかは分からないらしい。それでも治療を始めて3日目で前向きな結果が出たことには安心する。効果が出るのか分からないと思いながら受ける治療は心細い。耳鳴りは相変わらず、同じように聞こえ続けている。聴力が回復すると耳鳴りも軽減する傾向にあるというが、自分がそうかは分からない。脳が聞こえにくい右耳の感度を上げて、そのせいで体内のノイズを聞き取って疲れてしまうことがあるらしい。しばらくの間は聞こえにくい方に耳栓をするのもいいと聞いたのであとで買おう。

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診察の後にいつもの点滴。今日の看護師は右腕に針を刺すという。右腕のその場所は前の人は失敗して挿し直しになりましたよというと「マジで!?」といいリアクションをもらった。一発で決まって上手な看護師だった。ステロイド薬の量は初日、2日目と比べて減っていた。少しずつ減らしていくプランらしい。目一杯使って欲しい気がするけど、これがこの薬の正しい使い方なんだろう。

今日はその後にCT検査も言い渡されていた。耳を中心に頭部だけのCTを撮る。画像診断でわかる異常がないかチェックしようということだ。2日前にうちの近所の耳鼻科にかかり、お盆休みで点滴の通院ができないということで地域のデカい病院に通うことになったが、こうしてCT検査や1時間で血液検査の結果が出る病院に通えることは診察治療の幅を広げて速度を上げるために都合がよかったのかもしれない。CT検査では放射線を浴びますよという説明の紙を渡され、撮影後に読んだ。明日はこのCT画像も併せて先生の診察を受ける。CT検査を受けると医療費が高くなるが健康保険のおかげで激痛で済んでる。わたしは今、全国の健康保険加入者のみなさんのおかげで激痛で済む自己負担額で医療サービスを受けています。

病院を出ると土砂降りだった。病院と隣接する薬局に耳栓を買いに行きたい。屋根がない数メートルの間でずぶ濡れになった。耳栓は売ってなかった。引き返す足でもう一度ずぶ濡れになり、濡れた体で車で別のドラッグストア兼スーパーに行き耳栓を手に入れた。駐車場の所々がくるぶしの高さまで水が溜まる雨だった。続く


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