10年近く前に完結した作品の沼に落ちて、ファンの当時のツイートをRTし続けたらなぜかその方々に感想会を開いてもらったんだが!?
突然だが、あなたは何年も前に完結したコンテンツにハマったことがあるだろうか? それも知名度が高いわけではない、身近な人間からは十中八九「はじめて聞いた~」と返されるようなコンテンツに。
「ある」と答えたあなたなら経験したことがあるもしれない。
"旬"を過ぎた完結済みコンテンツに自分ひとりだけでハマることは、ただひたすらに孤独だ。
「なんだこの面白さは!?」「うわああああこのシーンやばすぎ!!」「この展開……神か?」
どれほど感情を爆発させようとも、感情を共有できる人はいない。現在も続いている作品ならば、少し検索するとすぐに、鼻息荒く感想を書き込んでいる誰かが見つかる。しかし何年も前に完結された作品では、3秒前にツイートされたばかりの新鮮な感情を得るのはほぼ不可能だ。
「話したい! 聞きたい! この作品がどれほど面白いかってことを誰かと共有したい!!!」
どうしようもない興奮に翻弄されながら叫んだ人も多いはずだ。
2021年5月、ゴールデンウィークの最終日深夜。RPFレッドドラゴンという作品の魅力にぶん殴られた私は、時間帯を考慮し実際に叫びこそしなかったものの、自室の壁の厚みがギリ許す音量で「くぉおおおおおお」と謎の声をもらし、レッドラの良さについて語りたい思いに身もだえしながら布団の上でジタバタ転がりまわっていた。
まさか、数日後にその望みがかなうなど夢にも思わずに……
***
さて、ここで私を狂わせたRPFレッドドラゴンという作品について軽く説明させていただこう。
簡潔に表すならば、レッドドラゴンとは
「最高の物語が見てみたいから予算と時間に糸目はつけません。プロクリエイターを集めて本気で遊ばせてみようぜ!」
だと思う。
考えてみてほしい。
もし、ゲームシステムからシナリオまで、たった1回のプレイのために、ゼロから構築された世界があったとしたら?
そしてそれを遊び、ときにはシナリオに介入するのが、プロの作家・イラストレーターだったら?
……少しわくわくしてきたのではないだろうか。
TRPGプレイヤー向けにいうと、レッドドラゴンとは「たった5人、たった1回のセッションのためにオーダーメイドで作られ、そしてプレイされたシナリオのリプレイブック」である。
プレイヤーに紅玉いづき、虚淵玄、奈須きのこ、成田良悟という日本のシナリオライター界・ライトノベル界のトップ陣、そしていまはFGOなどでおなじみの、当時新人イラストレーターのしまどりるを起用。
そしてゲームマスター側にはシナリオライター兼マスターに三田誠、システム製作に三輪清宗、小太刀右京が参加している。
聞く人が聞けばあまりの豪華さに卒倒するレベルの布陣である。
このプロ作家・プロイラストレーターたちが約1年もの時間をかけて作り上げた即興劇……興味がわいてきませんか?
少しでも「面白そう」と思ったのならこんなブログ読んでないで公式サイトに行ってほしい。なんと本編の半分までは無料公開されている。
ダメ押しで公式PVも貼っておくので、よければそちらだけでも見てほしい。
***
ひとり布団で暴れる私に話を戻そう。
実は、レッドドラゴンに狂わされるのは初めてのことではない。ファン歴自体は約7年、出会いは中学時代にまでさかのぼる。
本屋で見かけて、表紙の絵と「成田良悟」の名前に惹かれて購入した本。TRPGすら知らなかった私はダイスロールや判定など卓ゲ特有のシステム理解に苦労したが、それでもページをめくる手を止めさせない面白さがそこにあった。
当時から面白い作品を見つけるとその興奮を誰かに共有せずにはいられなかった。なのでクラスメイトや部活仲間など、誰彼構わずレッドラのことをしゃべり、そして「貸すから読んで!」と文庫本を押し付けていた
(当時の友人たち、本当に申し訳ない)
しかし相手の意向に沿わず押し付けていたことが仇となり、中学卒業とともに友人に貸しパクされてしまう。
(※いまも連絡を取り合っているほど親しい友人だが、お互いそこそこルーズな性格のため、現在まで互いに貸し借りしたものを持っている)(ごめん……)
手元から消え去ったことで再読が不可能となり、私はレッドドラゴンなしのまま残りの中高時代を過ごすこととなる。
そして迎えた2021年。いろいろあって貸し借りをある程度清算し、私の手元には再びレッドドラゴン全巻がそろった。
7年ぶりに読む本。正直に告白すると、再読するのが少し怖くもあった。あたりまえだが、中学生時代といまではものの見方・感じ方がまるきり違っている。
「もうこの作品に魅力を感じられなかったらどうしよう」
「好きじゃなくなっていたらどうしよう」
そんな不安におびえながらも、読んだ。
結論からいうと、まったくもって杞憂だった。
7年の時を経てなお、レッドドラゴンは私を魅了した。
もちろん、7年前と現在では感じ方が異なる箇所もある。しかしながら、私は7年前と同様に、かたずをのんで展開を見守り、展開に一喜一憂した。
少し前の俺へ
— 来橋石榴🐲あ2準備中 (@KuruhashiZakuro) May 5, 2021
RPFレッドドラゴンは20歳の俺の血潮をたぎらせ魂を震わせました。中学生の自分とはやっぱり抱く感情は違うけれど、やっぱりこの作品が大好きだよ…… https://t.co/WV5gtDhq4L
それほどまでに、レッドドラゴンは魅力的だった。
……というか、初読当時より自分のキモさが悪化していたかもしれない。
ゔぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ(スアローvs婁)
— 来橋石榴🐲あ2準備中 (@KuruhashiZakuro) May 5, 2021
バッチバチに"キマ"った…………
— 来橋石榴🐲あ2準備中 (@KuruhashiZakuro) May 5, 2021
ヴッ……
— 来橋石榴🐲あ2準備中 (@KuruhashiZakuro) May 5, 2021
んあ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
— 来橋石榴🐲あ2準備中 (@KuruhashiZakuro) May 5, 2021
……見ての通り、完全に言語野が破壊されている。
こうなったオタクは止まらない。
言語化された情緒を求めてインターネットの大海原に飛び込んだ。
しかし悲しいかな、冒頭の通り、けしてメジャーではない完結済みコンテンツの感想をTwitterで得ることは難しい。
そこでGoogle大先生にお慈悲を乞うことにし、個人ブログなどがひっかからないかと検索すると……togetterのタグが見つかった。
思ったよりもタグの件数が多い! ありがたやありがたや、なにか栄養価の高そうなツイートがないかと探していると……
イベント!?
レッド・ドラゴンが「マチ★アソビ」というリアルイベントで情報発信をしていたのは知っていたが、なんと10年近く前に行われたそのイベントのレポートツイートが現在も残っていたのだ。
また、イベント以外でも関係者のこぼれ話ツイートまとめなど公式サイトだけではカバーしきれない情報がかなり残っており、コンテンツ終了後に沼落ちした人間としてはありがたい限りだった。
しかし、感想読むのもしゃべるのも大好きヒューマンとしては、読むだけでは我慢できない。矢も楯もたまらず、ついに私はまとめの中から特に響いたツイートをRTしはじめたのだ
![](https://assets.st-note.com/img/1643474639764-b6K4Gufzu5.png?width=1200)
私をフォローしている人にとってもかなりうるさかっただろうが、いきなり知らないアカウントから10年近く前のツイートを大量にRTされたツイート主たちこそ不気味だったろう。私がその立場だったらまず不審者だと断じていた。
しかし、ここで奇跡がおきる。
なんと、私の大量RTを受け、togetterにまとめられていたツイート主のひとりが、「よければ知り合いのファンの方々に声をかけて、レッドドラゴンの感想会開きましょうか?」と誘ってくださったのである。
神か????????
なお、私が大量RTから感想会にお誘いいただくまで、時間にして約1日。そして実施日になる週末まではあと数日間。
……段取りがあまりにも早すぎる。
しかし抱え込んだ7年分の孤独を昇華できる願ってもないチャンスである。ありがたく参加させていただくことにした。
***
感想会当日。
正直なところ、緊張や高揚でとにかくドキドキしており、詳細が曖昧なことが悔やまれる。
まだ言語野は破壊されたままで、「うー」とか「あー」とか、鳴き声ばかりあげていた気がする。
それでも、とても楽しかった。
突然の話にも関わらず15人以上の方々が会にきてくださったこと、イベントやファンのオフ会の様子など貴重なお写真を見せてくださったことには感謝してもしきれない。
本当にありがとうございました。
(そしてTRPGにもお誘いいただいたのだが私の部屋を掃除するミッションが嫌すぎてまだルールブックを発掘できていないことを大変申し訳なく思っています……この場を借りて謝罪させてください)
***
もう一度、質問をしたい。
あなたにはいま、ハマっているコンテンツがあるだろうか? ファンミーティングや公式イベント、ファンのオフ会に参加しているだろうか?
もしそうであれば、記録を残しておいてほしい。
詳細なものでなくていい、イベントなどの記念ごとでなくていい。言語野にたよらないうめき声や鳴き声だっていい。
だが、残された記録は、後世そのコンテンツを好きになる人間の救いとなるかもしれない。
そして、数年後、数十年後、あなたの記録に反応することがあっても許してほしい。できるならば、そして反応した人が孤独に苦しんでいるならば「お話しませんか?」と声をかけてあげてほしい。
私のように救われる人間がいるかもしれないのだから。
***
さいごに:レッドドラゴン10周年おめでとうございます。
公式サイト
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