異世界転生コンサル#0

【自己紹介】
 さて、早速だが諸君は「異世界転生」というものをご存知であろうか?
いや、インターネット文化に触れていて尚、異世界転生という概念を知らない者は居ないだろう。
 ここでは居ないという認識のもとで、話を進めさせていただくので全くチンプンカンプンだと思われる方はそのままこの記事を閉じていただいて何ら問題は無いだろう。

 ということで、今回は初の記事投稿ともなるので、まず私がどういった活動をしているのかから説明していこうと思う。

 私はいわゆる「異世界転生コンサル」を生業にしている。異世界転生をコンサルティングする団体がいわゆる「リコリス商会」というものだ。
 地球の住民からみたらほとほと中二病を拗らせたシロクマなのであるが、もし仮に諸君らが異世界転生をしてしまった際に、圧倒的な暴力が支配する世界だとか、文明が遅れていて圧倒的に衛生状態が悪い世界だとか、そういった世界に直面する事があると思う。
 いや、断言しよう。有る。

 世間一般で語られるような異世界転生というコンテンツでは、主人公達は大いに活躍するのであるが、アレは実際厚遇されたいわば上澄みを覗いているに過ぎないのである。
 別世界の”神さま”が直接「間違えてアナタの肉体を破壊してしまいました。お詫びとして別世界で新しい人生をお楽しみください」なんて転生させてくるパターンがあるが、地球文明でわかりやすく言えば『社長が直々ヘッドハンティングしてきた』みたいなものなのだ。
 だから自ら望んで異世界転生をしてもらう諸君には、もしかしたら特別な才能もなく、秀でた肉体もなく、現世で学んだ知識のみで戦わなければならないかも知れない。

 話がそれてしまったが、我々が諸君らを異世界へと送り込むのは殆どのパターンとして
・受け入れる側が【現地の文明を開拓してもらいたい】
・転生者側は【現世での知識を活かして、異世界の文明を発展させ巨万の富や栄誉を手に入れる】
という、本来はお互いwin-winの関係である異世界転生を取り持つ、いわば「中抜き業務」構造であったのだが、いかんせん異世界の文明レベルでは、今の平和ボケした地球人を受け入れる体制が整っていないという問題に直面したのである。


 転職前はいい職場に見えていた所が、入社後、蓋を開けてみたらその実とんでもない価値観で埋め尽くされていたと言うのは、地球の文明でもよく聞く話だろう。
 事実こちらは転生先の面接官や概念との間を取り持つ、エージェント的な立ち位置でしか無いし、日本で言うところのハ○ーワークやリク○ビが実際の職場環境を知らないのと全く一緒である。


 ただ、顧客というのはワガママなもので「キミの所から派遣された転生者クンさぁ、なんですぐ○んじゃう訳?」と文句を言われるのだ。
 もちろんそんな言いがかりを基に対価を支払わない、契約不履行なんてマネを働けば我々は”穏便な話し合い”で対価を徴収せざるを得ないのであるが・・・。

 もちろん”穏便な話し合い”なんて業務無いほうがお互い幸せなので、諸君ら異世界転生を希望する者たちが、あっという間に無駄死にしてしまわないように、コンサルを行うのが私の役目ということだ。
 代表的な例を上げれば
・右の頬を打たれたら完膚なきまでに叩きのめして二度と歯向かえない様にしておけ
・強力な暴力装置や権力の後ろ盾を用意してから、娯楽商品や新たな商品を売り出せ
・言葉が通じるからと、地球の常識が通じると思うな
等を魂に教え込む業務をしていると認識してもらえればいいだろう。


とまぁ、固く話しちゃったんですが、概ねこんな事やってますよって感じですね。
 しかしですね、この業務をYoutubeでやるにも問題が有って、他の転生やってる所に転生者さん掠め取られるんですよね。
 なので基本的にリコリス商会から契約いただいた皆様にだけコンサルを行うようにしているって感じです。


ということでよろしくおねがいします。

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