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ふと目覚めて、隣を見て溜息が出そうになるのを慌てて堪えた。安らかな寝顔と安らかな寝息。なんだか息苦しくなって、涙腺が緩んだから反対側に寝返りを打つ。 どうしてだろう、と思う。この人生を選んだはずなのに。この人を選んだはずなのに。 部屋はまだ暗い。きっと朝は遠いのだろう。もうひと眠りして起きたら、あの友人に電話をしようと思う。 *** 「ジョハリの窓って知ってる?」 佳奈がそう言ったのは、社会人になったばかりの頃だった。 「うちら何学部卒よ?」 椎名はそのとき