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真夏の東京で観たお芝居のお話-「世界は笑う」観劇のキロク

 コロナ禍から脱して以前の姿を取り戻し始めた今、昨年コロナ禍の中で上京観劇したキロクをもう一度残しておきたくて、当時のツイートをまとめました。


※2022年8月17日にシアターコクーンで上演した【世界は笑う】の観劇ツイートを加筆修正して掲載したものです。

 私が手にしたただ一枚のチケットを、感動と喜びに引き換えることができたその時まで、誰の感想も喜びトキメキの声もルポを読みたくなかった。
この目で舞台役者千葉雄大を見るまでは。

 「世界は笑う 」17日マチネ。用意された席は下手よりの6列目。座って会話するシーンは下手寄りが多い。目の前で役者たちのセリフのやりとりが繰り広げられて表情もよく見えてここからでも熱を感じる。
 千葉くん演じる是也も私の正面で座り、セリフを言い、動きのひとつひとつも、肌も瞳も髪もほんとによく見えて、舞台全体と生身の是也を肌で感じれられる距離感。最前列ではないけれど、一度しか見れない私にとってはベストな席だったと思う。

 プロローグ、登場シーンからもうこれはいつもの千葉くんの芝居じゃない!全く違う彼を観れるんだという期待で胸が高まる。インパクトは充分すぎるくらいだった。
 第二幕、大倉孝二さん演じる鰯とのシーン。私の中で特に印象深いシーンだ。大倉さんの圧倒的な芝居の前に、千葉くん本当に心が揺さぶられているように見えた。
 その後瀬戸くん演じる兄にそのことを話すシーンではその感情がそのまま続いているように思えて、かなりグッときてしまい涙ぐんでしまった。最後の是也のクライマックスへの序章の場面で心の機微を繊細な芝居で魅せる千葉くんに舞台でも心を掴まれるとは思いもしなかった。
 だけど物語の最後、是也の姿は見えなくとも兄のセリフだけで、私の脳裏にあの素直な表情とこの先の兄弟の姿が思い浮かぶ。破滅の中に一筋の希望の光が見えたラストシーン。じんわりと感動が染み渡る幕切れだった。

 時代の変化に悩みながらも逞しく生きる登場人物の中にあって、千葉くん演じる是也は他とは違う役どころ。苦しみながらも虚勢を張りつつそこから逃れるために自分を破滅に追い込み、終幕に向かって壊れていく様は凄まじかった。映像作品では決して見ることができない彼の迫力が波動になって押しつぶされそうになるくらいの圧倒感があった。

 段々と瞼の裏に映る残像は薄れていく。だけど心に残る感動は薄れない。
たった一度の観劇だったけど、だからこそ大切に噛みしめて、わたしの心のロッカーに大切にしまっておこうと思う。でも鍵は開けておく。いつでも取り出せるように。
ご静聴ありがとうございました♪


追記
【#世界は笑う 公演が終わった今思うこと】(超私的なこと)
※2022年9月7日、前日に大千穐楽を迎えたことを受けてツイートしたものを再編集したものです。

 エンタメを東京に観に行くなんて考えもつかなかったコロナ前のわたし。札幌にきてくれるエンタメを観に行くという常識を覆したのは幸か不幸かコロナで配信エンタメが始まりそれを観たのがきっかけだった。
 こんなすばらしいもの、生で観てみたい!という願いと人生いつ終わるかわからないという漠然とした思い、色んな感情が私を突き動かしたんだ。そんな時にポーの一族に 千葉雄大 が出るというお知らせが。これは千葉くんが手を引いてくれたんだと勝手に思ってチケットを買ったんだった。
 そして今年の夏、私は「世界は笑う 」のチケットを手に東京の劇場にいた。行けるかどうかギャンブルみたいな1日だけのチケット。水の泡と消えなくて本当によかった。ほんとに楽しい時間だった。そして手を引いてくれた千葉くんにまた感謝している。          

 次はどんな舞台に私を誘ってくれるのかな。その時はなんの不安もなく気楽に行ける世界になっていたらいいな。そんな招待状が舞い込むまでワクワクしながら彼を応援していこう。

【そして今】
コロナ禍の制限が緩和され、元のエンタメが戻ってきました。マスク着用声出し禁止だった当時、どれだけスタオべし、「ブラボー!」と叫びたかったか。またこんな機会が訪れたら次こそはこの夢を実現したい。そう願いつつこのお話はひとまずおしまい。また次の舞台で!

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