たった足湯くらいのことが
寒いのが嫌いだ。
動きたくなくなる。寒冷じんましん持ちだし、一度冷えるとなかなか回復しない。生命を脅かされる感がある。
でも靴下が嫌いなので、基本家では裸足。当然足先が冷える。そこで足湯をした。
第二子の産前産後に自然療法にハマって、そのころ足湯は脛まで浸かる深い容器で、途中で差し湯もして、左右の足が赤さが揃うまでなんていう念入りなやり方をしていた。温めさえすれば、安産になると祈るようなすがるような、身体に徳を積むような心持ちで足湯していた。
身一つになってから早16年になろうとしている。自分自身の健康や快適さは、なんでこうも後回しにできるのか。こんなに簡単なことなのに。と、足先が折れ曲がる、小さくて浅い洗面器で足湯しながら思う。
後回しにしていた理由のひとつが、足湯に適した容器を出すのが面倒臭い&それにたっぷりお湯を張ると重い&勿体ない。あ、ひとつじゃなくて、ひと塊りだった。
思い立って、出しっ放しの、普段風呂場で使っている浅い洗面器に、流しの湯沸かし器からひとひねり、47度くらいのお湯を出して、足を突っ込んでみた。温かい。
足指を動かしたり、折れ曲がる部位を変えたりしてたらぬるくなってきたので、終えた。充分、血の気を感じる足になった。
ぬるくなった洗面器のお湯で、ざっと床を拭いた。残ったお湯を捨てても、勿体なくなかった。
理想的じゃない足湯は、面倒臭くなくて、重くなくて、勿体なくない。
たった足湯くらいしてあげよう。冬が来るけど、快適に健やかに過ごそう。
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