My Top Songs 2023 その2


6.『回春』女王蜂
私、この曲を聴いてた時期がある記憶はあるんだけど、それは満島ひかりをゲストボーカルに迎えたバージョンなのよね。『回春』は女王蜂が過去にリリースした曲『売春』を明らかに意識した曲である。『売春』は女王蜂フロントマンのアヴちゃんが男声女声を1人でレコーディングし、擬似デュエットをしている曲である。そして、そんな曲にゲストボーカルを迎えて本当のデュエットにしたのが『売旬』。(タイトルの漢字が違うのはゲスト側の事務所とかに引っかかったんじゃないかと、当時の私は下衆の勘繰りをしていた。)ゲストボーカルの入ったバージョンを愛聴していたので、今回の『回春』もゲストボーカルの入ったバージョンで気づいた。満島ひかりの歌っていない、これまた擬似デュエット版は先に出ていたアルバムに収録されていたのだ。でもプレイリストに入ってるのは擬似デュエットの方。不思議。

7.『コミック・ジェネレーション(Live from《ドレスコーズの味園ユニバース》)』ドレスコーズ
タイトルの話はもう割愛しますよ。
いや、タイトルの話しよう。この曲も毛皮のマリーズの時の曲なのだけど、その時は『コミック・ジェネレイション』と表記されていたのよね。なんでなんだろ。ちなみにこの曲は珍しくドレスコーズ 版のスタジオ音源も存在する。他の毛皮の曲はライブで演奏されてその音源が残っていても、スタジオ版はないはず。まあ、他の曲とおなしでこれも毛皮のマリーズの曲のライブ版が聴きたかったのよ。
ただ、この曲はライブ音源で聴くと少し嫌な気分になった。というのも、この曲には客が一緒歌うことのできるパートがある。このご時世、と言ってもこのライブは前のものなのでもっとハードな時だけれど、パンデミックの下ではシングアロングなんてとても相性が悪いわけです。この音源でも最初はフロントマンの志磨遼平がしーっと客に声を出させないようにしている。まぁ、それも志磨が「声が聞こえるよ」と煽りともとれることを言ってしまって、それを受けて歌い始めた客に言ってるんだけど。そのあと「もっと小さい声で」「まだまだ小さい声で」と言うんだけど、もうここまで来たらこれは実質的に煽りになっていて。「もっと!もっと!」と言うんだけれど、これは客からしてみれば「もっと小さい声で」の「もっと」なのか「もっと声を!」の「もっと」なのかわからない。実際、この曲はYouTubeにもこの時のライブが映像と一緒に挙げられてるんだけど、コメントの中にこの部分の煽りやそれを受けて歌った経験を書き込んでいる人が多い。
ちなみに、ライブでの声出し解禁がされたのは今年の初めのことで、それもマスク着用の上でだった。ドレスコーズ の味園ユニバースでのライブは2022年の11月だ。
パンデミック以降、満キャパは良いとか悪いとか、マスク着用云々とか、声出しして良いとか悪いとか、そういうのがついて回った。でも、それは必要悪というか、それまでのライブパフォーマンスの現場での「何か」を目減りさせるものであったとしても、必要なことだったはずだ。
そんな部分が蔑ろにされているのが、どうにも根本的な部分で嫌なのだ。
と、同時にそんなマスク着用で大人しく黙って見ていられるような、そんなつまんないライブも見たくない。つまり私はパンデミック下では様々な角度でライブを楽しめないのである。(勝手な奴だ)
けれど、こういったことをきちっと守った先に、喜びは待っているはずなんだと思う。ちゃんと守っていたからこそ、星野源のライブは特別なものになったんだと思うよ。(※星野源が今年の初めにやった久しぶりの有観客ライブの千穐楽は、ちょうど満キャパでも声出し解禁となった日だった)
……と言っても、最早私はどの界隈のどんなライブに対しても外様である。こんな風にライブ自体とは別のところで(いや、本当は別じゃないんだけど)、色々と考えなきゃいけなくなったのが音楽と疎遠になった理由の決して小さくない部分だ。

8.『ムーンライトアドバイス』藤井隆
いやぁ、流石国産シティポップ最大の遺伝子を受け継ぐ男。藤井さんのアルバムは毎回驚かされる。しかも毎度発明がある。例えば、前のアルバム『light showers』は全曲タイアップ、とか。(実際は全部架空の企業とタイアップしてるという手の混み具合。)今回は全く予期しないロイヤルホストとのコラボ。なんだよそれ。意味わかんねえよ。リリース時期は実際にロイホでイベントしてた。だから、なんだよそれ。
そういう広告的な面での発明だけじゃなくて、きちんと毎回音楽が1番素敵なのも最高。
…でも思い返すと私このアルバムフィジカルで持ってないな。もしかすると、今年はフィジカルを1枚も買ってない気がしてきた。滑り込みで買おうかな。

9.『愛し愛されて生きるのさ』小沢健二
私、あんまり小沢健二通ってないんです。しいて好きな曲をあげるなら、『強い気持ち・強い愛』『戦場のボーイズ・ライフ』。それとこの曲。
そんなに何かを言うほど繰り返し聞いた記憶もないんだけど。
…あ、『家族や友人たちと並木道を歩くように』からのポエトリー的な部分が好きですね。

10.『花一匁』ずっと真夜中でいいのに。
ずとまよは、基本的には私の好みのラインではないんだけど、何か引っかかる部分があっていくつか繰り返し聴いてた時期がある。特にYouTubeにあがっていたライブ版の『あいつら全員同窓会』とこの『花一匁』。
この曲、歌詞が面白い。深夜のモノ作りってきっとこんな感じなんだと思う。最初のHOOKでは『何か出来そうな夜更かし 成仏させたし』だったのが2番のHOOKでは『何か出来そうな夜更かし
成仏させた詩』になってたりとか。こういうある種の言葉遊びというか、ダブルミーニングはとても好みです。arko lemmingという1人バンドがかつて『dual』という曲を3つ作って、(正確には2つとそれを掛け合わせた1つ)それぞれ同じ歌詞なんだけど、漢字や意味が変わっていて面白かったのを思い出すなど。
(私自身、制作の神は夜中に来ると思っているところがある)(というか多分忌野清志郎がそう言ってた)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?