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M9.K.U.F.U.

常に研究、常に練習、知恵を結集して君をレスキュー。
このフック、名言だと思ってます。

「フック」とは簡単に言えば「サビ」のことを言います。ちなみにサビ以外の部分を「ヴァース」と言います。日本語では主にヒップホップの時に使う言葉ですが、海外では違うようです。
ローリングストーンズという、言わずもがなのベテランロックンロールバンドがいます。(もし知らなかったらぜひ語らせて下さい)そのストーンズの大きな展覧会で作曲時のメモが提示されていたのですが、そのメモにも「verse」と書かれていました。なのでおそらく海外ではもっとジャンルを選ばない言葉なんだと思います。

RHYMESTERは日本のラップグループです。

日本語でラップができるのか、という論争がかつてありました。大きな理由の一つに「音素が欠けるから」というものがあります。
音素というのは、音の要素のことを言います。そのままですね。日本語は音素が貧弱であると言われます。基本的には母音と子音の2つで構成されるからです。この辺りの話は言語学者でもなければ、ラッパーでもないのであまり詳しくは触れない(触れられない)ですが、フランス語がリエゾン(言葉と言葉が連なって言葉じりの発音が変わることをリエゾンと言います)したり、英語がローマ字表記のように母音と子音の一対ではなく複合的に使われることを考えれば、少しわかりやすくなるかもしれません。

ラップというものは基本的に韻を踏みます。英語で言えばライミングです。
例えば「上野リチ」は「現状維持」で韻が踏めます。
ローマ字にするとわかりやすいかもしれません。
u e no ri chi
ge n jo i zi
最後の母音が「o i i」で揃っているのがわかるかと思います。ものすごく簡単に言えば、母音を揃えるのが韻です。(プロの人に言ったらしばかれるぐらい簡略化した説明です。)

ちなみに日本語は元々韻を踏む言葉です。
ずっと「です」「ます」などでリズムが作られています。これを「膠着語方」と言います。文末が固定されている、つまり膠着しているからです。
こういった日本語の成り立ちからもラップには向いていないという意見がありました。

読んでくれている貴方がヒップホップに興じる姿、ラップを聴く姿が想像つかなかったので、あえて細かく説明しています。
あなたの方が詳しかったらどうしよう。
20代の頃ににコーンロウに興味を持っていたという話を思い出して、その可能性もなくはないな、と思っています。

続けます。

そういった意見に真っ向から立ち向かったのがRHYMESTERです。
RHYMESTERの『K.U.F.U.』はそういった視点が多く含まれています。
1stヴァースはこの世の万物、全てに通じます。

ヒップホップの大きな文化の一つに「セルフボースト」があります。自分を誇ることです。自画自賛とも言えるし、強がりとも言えるし、様々なニュアンスを含みます。
『ウサギとカメ』を題材にとった3rdヴァースの最後は「人間舐めんな」で締められます。あまりに打たれ弱い私が、己を鼓舞する時に念じる数少ない言葉の一つです。
RHYMESTERのメンバーである宇多丸氏が、2011年の震災の直後、自身のラジオの冒頭で「人間舐めんな!」とシャウトしたのは大きな話題となりました。
後年、高校生の私は件のラジオ番組を知り愛聴するようになります。RHYMESTERを知ったのはこの番組で、ゲストに出ているのを聴きBase Ball Bearを知りました。M7.The Cutの少し前の出来事だったように記憶していますが、やや朧げです。

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