M19.夏の魔法

Enjoy Music Club『夏の魔法』です。

Enjoy Music Clubは3人組のラップグループです。
バキッとした韻や、巧みなフロウで沸かすタイプではなく、ゆるいラップが魅力のグループです。

『夏の魔法』。気付けば、6年も前の曲なのですが、夏が来るたびに繰り返し聴いてしまいます。
……この曲を知ったのは2016年ではなくて、2017年だった気もします。だとしたら、聞いているのは6年じゃなくて5年ですね。
Spotifyという音楽ストリーミングサービスを使い始めた年に知った記憶があります。

メロディに斬新さや目新しさがあるかと問われれば、そうでもないかもしれません。いかんせん、あまりに 使い古された『Just The Two Of Us 進行』の曲です。
……『Just The Two Of Us』ご存じでしょうか。グローヴァーワシントンジュニアが1980年にリリースした曲です。リリース当時日本では『クリスタルの恋人たち』という頓狂な邦題で売り出されました。
この曲のコード進行が大流行しています。例えば椎名林檎『丸の内サディスティック』、tofubeats『水星』、くるり『琥珀色の街、上海蟹の朝』と枚挙にいとまがありません。楽典の知識がない自分でも、これらを続けて聴くと「めっちゃ似てる!」となるくらいには特徴的なコード進行です。
メジャーとマイナーを行き来するこのコード進行は浮遊感のようなものがあり、叙情的です。
ただし、安易に使うとオリジナリティのないただの借り物になってしまうことから『ジゴロ進行』とも呼ばれています。

さて、そんな諸刃の剣のコード進行を使っているこの曲が、オリジナリティを発揮できているのか、というのは置いておきますが、なんにせよこの曲を私はとても好いています。
内容も夏の終わりと恋の終わりといった、まあ、言ってしまえばよくあるイメージだともいえます。

……うーん、何がそんなに好きなんだろう。
自分でもピンと来ていません。

……あ、MVがとても素敵です。プレイリストという音楽のまとめなのに、映像の話をするのもどうかと思いますが、これは確実に魅力です。
シャムキャッツというバンドをしていた夏目さんと俳優の栗原さんが演じるゲイガップルを主人公にしたものになっています。このMV、めちゃくちゃ良いんですよね…。夜の銀座を歩きたくなります。

毎年夏が近づくと繰り返し聴いてしまいます。
夏の終わりの歌なのに。夏前から終わり気分です。

「Ifとifばっかの夏だった」
本当にそうです。

それでは、また。あなたを愛しています。

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