どうして、満たされるのか
私の答えの出ない疑問が、今日また頭をもたげた。
というのも、久しぶりにポチと電話をしたのである。
用件は特にない。久しぶりに連絡をしたら、お互い疑問符ばかりの会話になって、とてもじゃないがLINEでは話しきれなくなり、今度電話しようぜという話になった。
結果:死ぬほど楽しかった。
ポチと話すのは本当に楽しい。IQが同じなんだろうか?
笑いすぎて吐きそうになるほど楽しい。時間が経つのを忘れるくらい楽しい。話した内容はメモしてなきゃ忘れてしまうくらいなのに、楽しい。
ポチの声を聴いたのは久しぶりだった。
電話がかかってきて、繋がると同時に
「おいはげ元気かこらー!!」
と勢いのいい声が聞こえて、バイト先と自宅の往復しかしていない私は久しぶりの友人との会話に信じられない噛み方をして、それをポチがすぐさま真似して、大声で笑う。
ああ、そうだ。この空気が好きだったんだ。
離れて数か月、すぐにやってくる「いつもの」空気。
この時間が、空気がどれだけ私にとって楽しみでたまらない時間だったのかをまざまざと教えられた気分だった。
彼は忙しいのに時間を縫って私と電話する時間を確保してくれた。
本当に、彼は優しいのだ。オンライン授業になって人と会う機会が減ったことを聴いたとき、「病んでないか」と言ってくれた。
幸い、バイトが忙しすぎて病む暇がないので大丈夫だと元気に答えることが出来たが、あとから思い返しても彼のあの優しさは心にじいんと染み渡る。
色んな話をした。彼の私生活についても聴けて、大学の時よりも自由な時間が確保できてうれしいと言っていて、本当に安心した。彼のそういう楽観的な所が私は大好きだ。
普通の人なら、朝5:30に起きて7:00から17:00まで仕事する日々なんて苦痛すぎて音を上げてしまうだろう。
それを彼は部活をやっていた日々に比べたらはるかにマシだと笑う。恐るべしブラック耐性だが、そうやって辛さなんて微塵も見せない所を私は尊敬しているし好ましく思うのだ。もちろん本当に辛い時は頼ってほしいが。
通話が終わった後、お礼のLINEを送って、私はふと疑問に思った。
胸が、苦しい。
それはマイナスな感情を抱かせる苦しさではなかった。どこかそわそわして、にやついてしまうようなむずがゆさを持っていた。
私はこの苦しさを知っている。
心が、満たされているのだ。
そう自覚した時、不意に涙がこぼれた。人は胸が満たされた時にも涙が出るのだとどこか他人事のように感心した。
どうして心が満たされているのに、こんなに胸が苦しいのだろうか。
ポチがパートナーではないからだろうか?
もしポチがパートナーになったら、この苦しさは解消されるのだろうか?
そもそも、ポチと話すと心が満たされるのはなぜなのだろうか?
気になって気になって、確かめたくてたまらない。
もう少しポチには構ってほしい。この答えを見つけたいのだ。
ポチは新しい環境で頑張っている。私が成長しないわけにはいかない。
次に会うときには、もっと賢くなっていたい。もっと私の思う理想に近づいていたい。あくまでも私の理想である。ポチの理想になったところでそれは私ではないから意味がないのだ。
君の優しい声が好きだ。優しい気遣いが好きだ。
君のいたずらな所が好きだ。君の鋭いツッコミが好きだ。
君の頑張り屋さんな所が好きだ。誰が何と言おうと君が好きだ。
私の中で、ポチ、君はとっくのとうに特別になっているのだ。
君にとっての私はどうか知らないが、私に取って君は特別なので
これからも私の探求心をつんつんとつついてやってほしい。
君はどうして私に時間を割いてくれるのだろうな。
私はあまり面白い返しはできないし、うんうんと話を聞くことしかできない。でも彼はそれがいいと言ってくれた。そういう所も好きだ。
ありがたいと思っている。親愛でもなんでもいい。好きなのだ。
次にまた電話するか会えた時にはもっともっと私は成長していたいな。
今、私は目の前に立ちはだかる多くの課題に追い詰められていて、君の前では笑ってすましたけれど精神的には酷く参っている。
でも、君に胸張って見栄を張りたいから、このどん詰まりから抜け出した先の景色についてまた君と話したいから、君と私はいつでも刺激し合える存在でいたいから、絶対に負けないし挫けないし勝つのだ。
君が私が言った約束を覚えていてくれて嬉しかった。
本当に記憶力がいいよな、君は。尊敬する。
寂しい気持ちはあるが、君はそんな私の気持ちをも見透かしたかのように多くの物を残していってくれたな。だから私は寂しくない。
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