AwBH 第6章 訳者雑感

※本記事は『鱗羽の天使』本編の核心的なネタバレを含みます。未プレイの方は引き返すことを強くお勧めします。

第6章は二度目の人類編です。レザを救出したネバダ州の居住地に謎の女性が現れ、居住地のリーダー、そしてイザベルの父親でもあるジョナスに取引を持ちかけます。一体、彼女の目的は何なのでしょうか?

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ライフルを携え、怯むことなく護衛に歩み寄る謎の女性。第3章でイザベルの会話の中に登場した“マリア”という女性と知り合いのようです。マリアはレザと同様、この世界ではロストテクノロジーとなった太陽フレア前の技術を動作する状態で保持していたとされる女性です。レザの場合は高度なサイバネ義手、彼女の場合はナノマシンでした。どうやら彼女は6400km離れた別の居住地にたどり着き、この居住地に隠されたテクノロジーの話を伝えていたようですね。

ここで少し地理的な話を検証してみましょう。レザたちの居住地はアメリカ西部のネバダ州にあり、そこから北に4000マイル(約6440km)離れた場所からやってきたと謎の女性は主張しています。アメリカを直線距離で横断しても5000km以下です。6400kmも真っすぐ北上すると北極海に出てしまいますので、北西または北東からやってきたと考えるのが妥当でしょう。前者の場合はアラスカ周辺、後者の場合はカナダの奥地となります。後者はちょっと現実的ではありませんから、恐らくアラスカ周辺から来たものと思われますが、それにしては車両や服装が軽装ですね。いずれにせよ、彼女の言う通り、険しい旅であったことは想像に難くありません。文明崩壊後のアメリカを何日も野宿しながら旅を続けるのは危険極まりない行為であるはずです。ガソリンはどこで補給しているのでしょうか?点在する居住地で物資の交換くらいは可能なのかもしれませんが… そもそもガソリン車ではない可能性も十分に考えられます。

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謎の女性の目的はまだ動作する医療ポッドでした。本編でも言及されていましたが、非常に高度なテクノロジーであるらしく、このポッドに入るだけでガンを始めとする様々な病気や怪我を治療できてしまう優れものです。ただ、このポッドが往復13000キロの長旅に見合う成果かというと、いまいち釈然としません。何か別の目的があるのでは?という気がしてしまいます。

帰り際には電話(?)で彼女の上の人間と思わしき相手に“ある男を見た”と報告し、指示を仰いでいます。この“男”が誰を指しているのかは不明ですが、ストーリーの展開から考えれば恐らくレザのことでしょう。実はこの女性はカリオンの一味で、旅の話はウソ。医療ポッドは居住地に入るためのただの口実という線もありそうです。

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3章にも登場した物憂げな少年がガブリエルという名前であり、そして居住地のリーダーである白髪の男性がジョナスという名前であることが明らかとなりました。ジョナスは中々の人格者のようですね。ガブリエルとレザ、そして居住区の未来をしっかりと気にかけて行動している様子が見て取れます。最初はガブリエルを邪険に扱っていたレザもガブリエル少年とすっかり打ち解けています。

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本編ではリボルバー拳銃を使って主人公や竜たちを苦しめたレザですが、右腕のサイバネ義手によって常人以上の筋力を得ていたことが明かされています。重いジェネレーターを一人で運び出し、何頭もの竜を刃物一つで殺害できたのは義手のおかげだったのかもしれません。もっとも、各ルートでマヴェリックたちドラゴンと取っ組み合いになった際にはあまり抵抗できずに死んでいることも事実ですので、戦闘用に特別な武器や機能が仕込まれているというよりは、あくまでも高度な義手という位置づけなのでしょう。

レザ編、もとい人類編はこの後、どのような展開を迎えるのでしょうか?果たしてポータルの発見や、レザや本編主人公が送り込まれることになった背景も描かれるのでしょうか?結末が気になるところです。

人類編は毎年5月頃に新しい章がまとめて公開されていますので、また新たな章が公開された際には日本語翻訳を進めたいと思います。

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本記事は『Angels with Broken Hearts』の日本語訳プロジェクトです。
オリジナルの公式HPはこちら
http://angelswithbrokenhearts.com/

この翻訳記事は制作者の許可の下で行われている公認プロジェクトですが、訳文はファンによる非公式翻訳です。公式は訳文に一切の責任を負いません。訳文についてお気づきの点は訳者までお寄せください。

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訳:Luptas