AwBH 第4章 日本語化プロジェクト訳者雑感

※本記事は『鱗羽の天使』本編の核心的なネタバレを含みます。未プレイの方は引き返すことを強くお勧めします。

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電力会社から困ったお婆さんについての通報を受けて出動したブライスとセバスチャン。平和な町の小さなトラブルを前に奮闘する二人の姿が描かれた章でした。

本編で登場した犯罪関連のシナリオはシリアスな雰囲気の強いクライム・サスペンス風でしたが、本コミックのセバスチャン編で語られる内容はクライム・コメディ寄りで、もっと気軽に読める内容になっています。ハワイ・ファイブ・オーやBONESといった海外ドラマを思い出させてくれますね。本作のライターでもある制作者、M. B. Saunders氏の好きなジャンルが垣間見えるパートでもあります。

さて、本章の内容ですが、ほとんど見たままという感じで訳者として補足する部分は多くありません。ただ、設定に関してはいくつか興味深い描写や言及がなされています。

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本編『鱗羽の天使』でキーアイテムとなった発電機。この発電機は古いモデルのようですが、本編に登場してていたものとサイズ感や見た目は大きく違わないものと考えられます。かなり重量がありそうです。これを人目に付かないように大量に集めるというのは相当大変な作業に違いありません。

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舗装された道路がない街並み。本編でも言及されていた通り、この世界には車や飛行機がありません。海路で長距離かつ大量の運搬を行うために船は存在するそうですが。

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電気工事士のお兄さん。なかなか人気があったようで、公式Discordではエモートも作られていました。なお、彼が去り際に吐いているセリフでのお婆さんへの言及は原文では"a crabby old bat"となっており、”気難しい老害”くらいの強いニュアンスなのですが、日本語訳では少しマイルドにしておきました。まあ、三十分も仕事の邪魔をされた彼の心情を察すれば、強い言葉が口をついて出るのも分からなくもありません。

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二人が座る椅子。セバスチャンは背もたれと座面の間の穴から上手にシッポを通しています。ブライスの椅子も同様の構造になっているように見えますが、正直よく見えません。少しメタ的な視点となりますが、本編では制作費の都合から背景イラストにフリー素材が使われたため、そこと辻褄を合わせるために「竜たちは生まれた時に刷り込まれた知識、すなわち人間用のテクノロジーに固執しようとする」という設定が設けられている訳ですが、こうしてみるとまあそこまで不便でもないのかな、という気もしてきます。

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署長の平均年齢とブライスの年齢とのギャップについて踏み込むセバスチャン。やはりブライスの年齢は署長を務めるにはあまりにも若すぎるという認識があるようです。この時点で25~26歳ですからね。さらに連続殺竜犯の事件で担当主任を務めたのはここから数年ですから、その当時のブライスは23~24歳だったことになります。ブライス、ちょっとサバ読んでません?と疑いたくなる若さです。なお、署長の平均年齢は45歳と、人間と大差ないようです。本編に登場した文化大臣エメラが50代であったことも併せて考えると、寿命やライフスパンといった部分は人間とそれほど違わなさそうですね。また、前署長がブライスと同じ地竜種であったことも写真から見て取れます。フィジカルな強さが求められる職業ですから、パワーのある種族が選ばれやすいのかもしれません。

”新人への洗礼”がないことに胸をなでおろしていたセバスチャンですが、夜のバーで彼を待っていたものとは?このお話は第7章に続きます。

第5章はアンナ編。『Angels with Broken Hearts』でも最大級の長編で、彼女が本編に登場する直前のいきさつが語られます。

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本記事は『Angels with Broken Hearts』の日本語訳プロジェクトです。
オリジナルの公式HPはこちら
http://angelswithbrokenhearts.com/

この翻訳記事は制作者の許可の下で行われている公認プロジェクトですが、訳文はファンによる非公式翻訳です。公式は訳文に一切の責任を負いません。訳文についてお気づきの点は訳者までお寄せください。

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訳:Luptas