一葉万里の道

一葉万里の舟の道
未だ歓喜悲観を知り調べ

静寂真っ青な夜を照らす月
あはれ、溶けこむ事もなく
この掌で掴もうという事でもなく

思ひだす
雲隠れの海の原

一葉万里の舟の道 よどむ風
如何と如何と払えたらと

荒波 向かうは戦ぐ風
如何と如何と 
ああ 荒ぶる息を切らして
如何と如何と、かき狂う

掻き漕ぐ荒波の中
ひそめし後影
行き先 歯向かいの道

まわりて巡る潮風

潮時は、ここかと
日の出迎えは、何処かと

乱り心地は左、揺れる心地は右へと

上、下、斜めへ
東、西、南、北
前、後、横、真ん中へと、

岩うつ波の轟きに、たじろき
騒めき潮風に、やけに疲れ
舵取り、風読みの生みが止まる

いつしか戻れず舟の道
真っ青な夜
掻きむしる、こころを
掻き散らす、こころを
掻き消せたならと、しのぶ時を知る

見上げれば そよぐ風
雲はらう風のいとなみ

包み照らす月夜の誘い

心のひだを照らし
またやまたやと
ひそみし記憶
記憶の一齣にまつ毛を濡らす
記憶の栞、あの人の言葉をめくる

一葉万里の舟の道 
謳うは真理の風
明け暮れる日の入り目
明け透けの心を洗う

海の原 行き交う潮の風交り
瞬く間に道へ入り交る

入り目辿り着く舟 積止まった川
瞬く間に一本二本と川を生んだ
新利の川の流れ

止める生めるの知らせ

面影残る朝ぼらけ
煌びやかな波の飛沫
また誘う海の風
出迎えるは時の知らせ

生めるものへと、灯し火放つ
交じり合う風 
灯は光に照らされ、透き通る光
静かなるものを整え

海の原 聞こえるは、
高鳴る波
目覚めゆく 梅染めの入り目

一葉万里の道へと
ああ、また海の原へと



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