ClariSが令和に蘇らせたWink「淋しい熱帯魚」の歌詞を真剣に読んでみた
まえがき
今、一番話題になっているカバー曲といえば?
推しへの贔屓目抜きにしても、間違いなく「淋しい熱帯魚」でしょう。
先日のライブ「ClariS SPRING LIVE 2023〜Neo Sparkle〜」で発表され、ダブルアンコールでサプライズ生披露もされたこのカバー。
まず、MV再生数の伸びが凄い。
1日10万再生ペースで毎日伸び続けて爆速で50万再生を突破。
ClariSのMVでは見たことない伸び方です。
さらに、関係各所からの反応もどんどん来る。原曲を作詞した及川眠子さんや、原曲を振付した香瑠鼓さんからも続々と反応が来ていて、世間を騒がせている感が物凄いです。
※余談ですが、筆者はエヴァンゲリオンオタクなので「エヴァの『残酷な天使のテーゼ』『魂のルフラン』を作詞した及川眠子さんとClariSがリプのやり取りしてる・・・!及川さんの詩をClariSが歌ってる・・・!」という事実だけで動悸が止まらないです。
Neo SparkleのMCで「Winkさんの『淋しい熱帯魚』をカバーさせて頂きます!」と2人が発表した時は、原曲を知らない若いファンも沢山居たこともあって会場内は「い、いえ~い・・・?」みたいな若干戸惑い気味の反応でしたが、その後のダブルアンコールでのサプライズ披露とネタ感満載のMVですっかり中毒者が増えているようです。
ハートオンウェーブ~
🤛
🤜
※この動きを見かけたらそいつは間違いなくClariSTです
そんなわけで、今回はClariSがカバーしたことで30年以上の時を経て話題沸騰中のWink「淋しい熱帯魚」の歌詞を紹介したいと思います。
ちなみに、ツッコミどころ満載のClariS版MVについては筆者の怪文書の師匠が素晴らしい調査記事を書いているので、是非併せてご参照下さい。
※師匠、この記事を書くために国会図書館まで行ったらしいよ。
(オタクの行動力って怖いね)
曲紹介
作詞:及川眠子 作曲:尾関昌也 編曲:船山基紀
1989年7月5日発売、初の紅白出場なども果たしたWinkの代表曲です。
ClariSがカバーを発表する9日前にひっそりと上記HDリマスター版MVがアップロードされていたらしく、しっかり伏線が張られていたようです。
ClariSの楽曲に対して、ファンの一部からはかなり初期の頃から「Winkっぽい」という声があったらしいのですが、今回のライブで公式に「結成当初のコンセプトは“21世紀のWink”だった」と明かされました。
満を持してカバーしたこの楽曲がこれだけ話題になって、ClariS関係者の方々はさぞ満足していることでしょう。
歌詞
曲名が「寂しい」じゃなくて「淋しい」なのは、熱帯魚をイメージしてあえて「氵(さんずい)」の方を選んでるんじゃないか?
・・・ってドヤ顔で書こうと思ってたんですが、Wikipediaに普通に書いてある有名な話しだったようです。
投稿する前にツイッターで見掛けたお陰で気付けました。
まあ、車輪の再発明も大事ですからね?
「自力で気付いて凄いでしょ?」ってドヤ顔しておくことにします笑
歌詞全体の解釈としては、かなり余白が多くて解釈に幅が出そうな印象を受けます。
具体的な状況設定やストーリーがあまり説明されず、「あなたは来ない」という主人公の内面の心情だけが描かれます。
これは及川眠子さんの歌詞の特徴かもしれません。
残酷な天使のテーゼも「エヴァンゲリオンを全然観ずに好き勝手言葉を並べた」という有名な逸話があるくらいなので、具体的なストーリー性より言葉の気持ち良さや抽象的なイメージを膨らませるのが及川さんの得意分野なのかもしれないですね。
だとすると、あまりクソ真面目に考察してもしょうがない気がしますが、まあ筆者の自己満足としてお付き合い頂ければ幸いです。
筆者は、この曲の「私」と「あなた」の関係性が気になります。
①片想いなのか?
②付き合ってるカップルなのか?
③私は本気なのに、あなたは遊び相手の女と軽く扱っているのか?
あまりにも余白が多すぎてどれでも当てはまっちゃうんですが、ここは筆者の個人的な好みで③で行きたいと思います。
(こいつ、本当に病んでる恋愛ばっかり選ぶな・・・)
では、改めて歌詞を読んでいきたいと思います。
※歌詞は歌ネット(https://www.uta-net.com/song/2090/)からの引用
1番Aメロ・Bメロ
「星屑」なので夜のプールサイドを連想します。
水着に着替える時に髪飾りで髪を留める(固定する)のが「Stop」で、それとは対照的にあなたと逢いたい気持ちは止まらないのが「Non-stop」なんでしょうか?
外面では平静を装おうとしている自分と、「ZUKI-ZUKI 切なくふるえる胸」の内面の自分を対比しているようにも思えますね。
プールサイドで「優しい瞳」のあなたを待つ主人公。
「幻でもいい 逢いたいのに」なので、どうやらもう結末が見えてしまいますね・・・。
1番サビ
「Heart on wave」は「波の上でゆらゆら揺れる心」みたいなイメージなのかなぁと勝手に解釈しました。
あなたへの気持ちがゆらゆら揺れる。
「この人を信じていいんだろうか?」
「この関係をこのまま続けて幸せになれるんだろうか?」
そんな主人公の葛藤を筆者は想像します。
ちなみに、これは及川さんの造語らしいです。
で、Aメロで予見した通り「あなたは来ない」んですけど、これってどういうシチュエーションでしょうか?
ナイトプールでデートの約束をしていたのに、すっぽかされて自分一人だけあなたを待っている女性?
もしかして、他の女とデートすることになったから遊び相手の自分はドタキャンされてしまったんでしょうか。
「もう別れてしまった恋人への未練をいつまでも引きずってる」という解釈も出来なくはないです。
でも、筆者の個人的な感覚としてはやっぱり③の遊ばれてる感じなんじゃないかなぁと思います。
「Lonely ユラユラSwimmin' ユラユラDreamin'」は曲名の「淋しい熱帯魚」を象徴するようなフレーズですね。
1人プールの水の中で淋しく泳ぎ、幻の中のあなたと出逢えるのを夢見る主人公。その心も波の上でゆらゆら揺れる(Heart on wave)。
「愛が揺れる Stop」は「あなた」と「私」両方への言葉に聴こえます。
もっと私に真剣になって、都合の良い女として扱わないで。「私の思慕いを ジョークにしないで」という「あなた」への呼びかけ。
自分の気持ちが自分でも分からなくなってる、もっと冷静にならなきゃ、という「私」への呼びかけ。
・・・正直言うと、歌詞の余白が多すぎていくらでも都合良く解釈出来ちゃうので、なんとでも言えるわって感じではあります。
まあでも、聴いた人の数だけ解釈があるのも歌詞解釈の楽しみなので、とりあえず筆者は③解釈で好き勝手書かせて頂きます。
2番Aメロ・Bメロ
あなたに見せるために買った派手な「花柄の水着」。
でも肝心のあなたは来てくれないので、プールサイドで1人派手な水着を着ている自分が「目立ちすぎて 泣きたくなるの」。
もっとちゃんと私を愛して、という「Love me」。
悲しいですね、これは泣いていい・・・。
「JIRI-JIRI 焦げてる この痛み」って言われると日焼けを想像するので、1番は「星屑」で夜だったのに2番は昼間なの?って時間帯が良く分からなくなります。
もうここは及川節なんだと割り切って、時間帯の整合性は考えないことにします笑
単純に「焦げるように熱いあなたへの想いで胸が痛い」っていう心情と、プールサイドを重ねてイメージを膨らませただけかもしれませんしね。
「冷たい水辺に そっと浮かべて」は、日焼けした肌を水で冷ますイメージと次の「Heart on wave」の両方に自然に重なる上手い導入だと思います。
2番サビ
「泳ぎだすけど あなたの理想には 追いつけなくて」って凄く切ないですよね。
おそらく主人公は「この人が自分を本気で好きになってくれることは多分無い」って自分でも薄々気付いてるんだと思います。
でも、結局彼の言いなりになって1人でプールサイドで待っちゃう。
惚れた側の弱みってやつでしょうか。
平成生まれの筆者の感覚だと、バブルの頃の女性歌手のヒット曲ってもっとイケイケで強いイメージなんですけど、この曲はかなり奥ゆかしいというか受動的な印象を受けます。
「淋しい熱帯魚」という曲名の通り「誰もいない暗い部屋で主の帰りを一人待つ、水槽の中で淋しく揺れる熱帯魚」みたいなイメージが浮かびます。
Winkは「笑わないアイドル」として当時斬新だったそうですが、ギラギラしたバブルの流行の逆をあえて行った部分もあったんでしょうか?
Cメロ~ラスサビ
自分に本気になってくれないことは分かっていても、あなたへの想いを断ち切れない主人公。
「I can't ねぇ こんなに苦しいのに
なぜ なぜ あなたじゃなきゃダメなの」
この前置きがあるせいで、その後の既出のフレーズからより強い切なさを感じますね。
結局、主人公は最後まで受け身のまま終わってしまいました。
なんか、改めて歌詞を読むと凄くClariSと近い雰囲気の悲恋曲ですね。
「結成当初のコンセプトは“21世紀のWink”」というのを改めて実感してしまいます。
あとがき
というわけで、Wink「淋しい熱帯魚」でした。
筆者の個人的な好みで好き勝手書きましたが、人の数だけある解釈の一つと捉えて頂ければ幸いです。
さて、ここまで書いた上で読んでみたい記事が1つあります。
ClariSが「淋しい熱帯魚」のカバーを発表した数日後に公開された、及川さんのインタビュー記事です。
筆者、自分の解釈を書き終わるまであえて読まないようにしていました。
どうせなら自分なりに考えた上で、自分の解釈を書き終わった後に答え合わせとして読みたかったんです。
というわけで、ちょっとドキドキしながらインタビューを読んでみると・・・
どうやら、筆者が感じた「受動的」とか「バブルの強い女性の逆を狙った」っていう印象はまあまあ合っていたようです。
まあ、タイトルに「強い女性の真逆を狙った」って書いてあるのは事前にチラッと見ちゃってたので、半分ヒントをもらってたとは思います。
正直ドヤ顔で誇れることではないですが、一応自力で考えた解釈がそれなりの精度だったということで、ここは渾身のドヤ顔をしておきます笑
最後に、ClariSが「淋しい熱帯魚」のカバーを初披露した5月6日のライブで筆者が目撃した、とても素敵な光景をご紹介して終わりたいと思います。
あの女性が今も幸せな気持ちで毎日「淋しい熱帯魚」を聴いているのかなぁと想像すると、筆者も幸せな気持ちになれます。
名前も知らない方ですが、本当におめでとうございました。
ではでは、以上となります。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
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