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【レビュー】日本製イヤースピーカ INAIR M360


イヤースピーカーという触れ込みで発売された日本製のイヤホンである。

最近はカナルタイプばかりなので久しぶりにインイヤータイプを聞いたが、プロダクトの説明文はかなり自信過剰な書き方である。この手の日本製で自信満々のプロダクトというと今まで碌なものがないイメージであったが、どうであろうか。

聞くのが楽しみであるが、一抹の不安はある。なにしろ360度音が広がるというまるで無指向性スピーカのようなかきかたをしているのが気になるイヤホンである。


【INAIR M360ワイヤードスペック】


■モデルナンバー INAIR M360
■ドライバー 1DD/
■感度92db
■インピーダンス不明
■周波数特性 10Hz ~ 20000Hz

音量が少し取りづらいイヤホンである。インイヤーで低音が10HZから?

この360はカナルではなくインイヤーである。

装着方法に関してはしつこいほど何度も説明されるので、その点は注意が必要かも知れない。


【INAIR M360ワイヤード音質】

基本的な音質に関してはニュートラルだと思うのだが、妙な雑味感が音に現れる。

帯域バランスは低音が極めて少ない。

ブースト量は+2.5程度であろう。インイヤーは元々低音が逃げてしまうので少ないものが多いが、音楽を鳴らすという点においてこの低音量は致命的であろう。しかも低音の下側がまったく出てこない。音楽の土台が軽すぎるので中高音域向けのイヤホンという事になるだろうと思う。

低域は少ないあげくに質も悪い。SONYの1BAであるXBA100がこの360を聞いた後では普通の低音量に聞こえるくらいには低音がでて来ない。

この低音量に関してはまるで説明通りに装着しないと低音が出ないかのように書かれているが、僕が試した限りでは装着うんぬんではなく、そもそも最初から低音が出ていないと思う。

バーンインと云っても低音の質が改善することはよくあるが、低音が+2.0など増加することなど経験上まずあり得ないので、少ないのは最初からだろう。

それをいかにも装着が決まれば中高音域から低音量に関してもビシッと決まるように書くのは卑怯だと思う。

ちなみに装着に関しては何度も色々な方法で試行してみたが、低音が出ないのはまったく変化しなかった。

またこのINAIR360イヤホンは中高音域もかなり酷い。ここだけ見れば聞けないことはないとは云えるのだが、基本的に質が決定的に悪いとは云えるだろう。

なにしろ360の中高音域は妙な雑味感と神経質な音が音の周りにまとわりつく。この神経質な音はどうにもならないだろう。深さとかクオリティとかとは無縁のまさにジャパニーズサウンドそのもので、むしろかなり酷い部類に入る。

インイヤーという事は分かるのだが、だから音の質が劣っても許されるとというわけではない。

自信過剰なのはいいことなのか悪いことなのか分からないが、少なくともまともなイヤホンとはいいがたく、いくらかでも中高音域に深みがあればまだ良かったのだが、そんなものは全くないことは云っておかなければならないだろう。

ちなみにメーカーはベストポジジョンが決まると「ハッとするような音が出る」みたいなことを再三いっているが、まったくもってお笑いである。


【INAIR M360ワイヤードまとめ】


このイヤホンはかなり自信満々なのである。プロダクトの説明文からもただならぬ自信が漂ってくる。結構笑えるのでアマゾンに書かれたディスクリプションを1度見てみることを推奨しておく。

インエアーエルゴノミクス方式イヤースピーカー「M360」は、音響に触れてきたスピーカーエンジニアが、音質に妥協せず、着け心地を追求した結果産まれた、全く新しいコンセプトのイヤーデバイス(イヤースピーカー)です。

音質的にはまったくもってインイヤーのしょうも無い音であり、サウンドデザインはそのままジャパニーズサウンドだと断言しておく。そもそもまともな設計者ならインイヤーなど音が悪くて使えないことはすぐに分かるだろう。

どこの世界線で一流のデザイナーが「インイヤー」を開発しているというのか教えて欲しい。一流のデザイナーが手を触れないという事は、単に手を触れる意味が無いと言うことなのである。

インイヤーの最大の問題は徹底的に低音が足らないことである。これはおそらく装着による原理的な問題であって、イヤホンのメリットのひとつである「低音」を殺しに掛かるのでカナルを選択しないと云うことはそれ以外の部分、例えば中高音域の質を徹底して高めるなどの工夫が必要になる。

確かにこの360は「装着方法」にこだわりがあるようで製品附属の説明書きでも再三注意して装着方法を間違えないようにと書いてある。

しかし、実際に色々な装着方法を試してみてもイヤホンとはそもそも装着で低音量や音質が変わってしまうものであり、いちいち指示するほどではない。説明では低音や質が激変すると書かれているが、この360の変化もイヤホンでは想定できる変化であり、低音はもともと致命的に少ない。

それはどう装着しても変わらない。

この時点でゴミ確定である。

むしろここまで装着についていちいち説明すると、クレームを回避しようとしているようにも感じるだろう。いわく「低音が少ない」のは装着が悪い。

イヤースピーカだの「あなたの頭上周囲一帯に、自分だけの音響空間、
プライベートBGM空間ができるような不思議な感覚」だのと書いてみても、結局はありふれた日本製イヤホンの音であってそれ以上でもない。むしろ低音が足りなかったりする分かなりダメな部類に入るだろう。

改めて書くが、どうしてこの程度の音しか出せないのに「自信過剰」だけは一流なのか意味が分からない。他の自信満々な日本製イヤホンもそうなのだが訳の分からないポエムチックに宣伝するこういったものは特にダメな部分が多いと云える。

この360イヤホンもまた独りよがりで耳のどうかしたサウンドデザイナーが開発したと断言しても良いだろう。もし本当にこれが音が良いなどと思っているのなら茶楽音人と同じ匂いがすると言っても良い。

総じて絶望的にしょうもない音である。


総合評価✖

自信過剰を地で行くタイプのイヤホン。この程度のプロダクトでどうやればここまで自信満々なのか意味が分からない。才能のかけらもない音。

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