紫の夜に百合を手折る

覗いた万華鏡
光に透かされて咲く
紫いろの硝子花

張りつめた弓のような月が
今でも眩しいあの夜に
私を巻き戻すの

わたしに赤い花をくれた
許されぬ愛と知れども
開かずにいられぬ蕾のように
息をするように咲いた
この こころを
捧げたのです

月夜が刻んだ疵は
どれくらい痛んだのかしら

夜の逢瀬
月を背に
微笑むあなたは
それきり二度と現れなかった

あれからわたし
鳥籠の小鳥
いつか羽も捥がれてしまう
だから美しいまま
翼を背に擁く

どこよりも高く
きっとあなたを見つけられる

紫の空へ先に羽ばたかせていただくわ
蝶の翅に導かれて
あなたのもとに

だから御免あそばせ


©2014  緋月 燈

AmijakanWatch https://twitter.com/AmijakanWatch/status/529824582195113984 様よりイメージ

BGM:ALI PROJECT「ナルシス・ノワール」

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