散華の恋

枝垂れ桜の腕
真白なる雪の肌の
伸ばす指先惑い
翼も手折るばかりで

白い皮膚に隠す
赤い赤い熱情
あなたが触れる
手首を伝う
熱が 脈が 恋うるを伝う

この身巡る
血潮へとこころ溶かして
体の奥 奥底へと
魂の汀に寄せ 潜ませて

もっととかして この熱情
せめて身体 駆け巡らせ
ああ鎮めて 溢れないで
狂い咲く桜花
この幻はもう幻のまま
触れずに 綴じ籠めて

薔薇の花に覆い
棘の痛み 冷たさ
纏っているのになぜ
優しい指触れている

脆くも美しい
赤いろの嘘ひらく
花盗人の吐息ひとつで
散らされ堕ちて狂い咲くわ

もっと奥へ 薄紅の花の奥へと
侵入り込んで
あなたとなら 時を違え
咲き果てる夢もよい

枝垂れる腕
あなたの首へと伸ばして
翼も ああ 片割れじゃない
鳥も枝も とこしえに狂い咲く
細くなる吐息が闇のなかで
静かに絶える頃

夢は醒めて
わたしだけが咲く桜は
哀しいほど美しくて
まるでそう甘い毒
手招くわ

いつかきっと
結ばれた縁はきっと
あなた手繰り寄せて繰るでしょう
わたしはそっとこの腕に抱きしめる
だから枝(うで) あなたのため枝垂れて
静かに待ちわびる


©2015  緋月 燈

AmijakanWatch https://twitter.com/AmijakanWatch/status/567883124132028416 様より生まれました。

ALI PROJECT「RED WALTZ」に詠う

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