花迷宮

あれは 夢?

必死ではためかせていたのは
蝶の翅
舞と呼ぶには悪足掻きな
飛翔を優雅と
誰が呼ぼうか

それでもわたしは蝶らしく
花を求めて彷徨うの

花は万華鏡の星屑のように
鮮やかな色色を鏤めて
哀れな蝶を惹き籠める

鮮やかすぎる花の迷宮は
わたしを捉えて離してくれない
手招く蜜は甘い毒
渇いた喉を癒せないのに
もっともっと欲しくなるの

眩しい迷路の果てには ああ
渇き切った蝶が
大地を柩と墜ちるだけなの
蜜に焦がれて奥へ奥へ
やがて渇いて朽ちた体
大地に還って花と咲く
そして花はまた咲いて
哀れな過去の己を誘うわ

ああけれど
これは夢で
わたしは朽ちて花となりたかった

唐突な目覚め
夢の終わり
紫色の名残りを引き摺って
わたしはまた生きてゆく


©2014  緋月 燈

AmijakanWatch様 https://twitter.com/AmijakanWatch/status/522181453921013760 よりテーマを頂いて。

ALI PROJECT「Les Papillons」を共に。

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