少女人形は翼を希求する、貴方に幸せを授けたくて
とある試験の準備を進めている自分がいる。
けれどそれに手を伸ばすほどに自分の中から叫びが聞こえる
迷子になると知りながら、道に迷い続けるのに
手の中には違和感しか残っていないのに
まるで地を這う蛇にでもなったかのよう
わたしは翼が欲しいのに
感じるのは地に這いつけられる閉塞感――呼吸も碌にできないでいる
泣いてしまいそうなくらいの熱量で求めるのは翼、頬にあたる風
ネットの海にこんなメッセージボトルを放つ割に
向けられた先はとても個人的
わたしはわたしに爪を立てたいのだ
爪を立てて痕と痛みを与えたいのだ
壊したいのだ
変わりたいのだ
わたしには大切で、守りたい人がいて、その人を愛している。
その人もいつだってわたしを想ってくれている。
でもいつのまにかわたしとその人は離れてしまった。
わたしとその人の幸せは同じではなくなったの。
あの人には幸せでいてほしい。叶えられるのならどんな願いだって叶えてあげたい。
あの人が望む形の人形をわたしという土台に着飾っては創り上げて。
でもわたしという人形はいつしかわたしの幸せを望むようになった。そしてそれがあの人の幸せとは違うことにも気づくようになったの。
今までどうにかわたしの幸せがあの人の幸せや望みと重ねられるように折り合いをつけてきたけれど、もうそれも適わない。
ふたりはひとつではなくなったから。
生まれた時から共にいて、同じ幸せを共有してきた。
けれどわたしは、わたしの道を歩きたい。
貴女が望む道とは違うけれど、わたしの望む道が、いつか貴女の幸せになることを願って。
貴女の幸せを願って止まない。わたしが幸せになることで貴女もまた幸せになってくれるように頑張るから。
だから今少し、貴女の望む道から逸れることをお許しください。
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