宝珠の華

幻想の森
翠の影に覆われた世界は
瞬の時に 留まる

葉からくずれた雫
木々のささめき
風の囁きも
すべて 音を失くす

あの子の目覚めを阻まぬように

朝が天高い木々を擦り抜けて
木洩れ日を降り注ぐと

あの子が目を覚ます

真白の華よ

すべてがきみのため
瞬きをとめた

穢れなき花びらを
ゆっくりとひらき
朝のひかりをその身に受ける

翠いろの闇に覆われた彼の森に
彼女はまさしく
輝く華であった

瞬きの裡に留まりし森は
時の針を進める
朝露は目覚めの甘い水を捧げ
風と葉は朝の挨拶を

そして夕刻
再び眠りにつくまで
森の最奥 ささやかな時を刻む


AmijakanWatch https://twitter.com/AmijakanWatch/status/533423901984837633 様よりイメージ。

BGM 志方あきこ「幻想林」

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