夜明けのわたし

深い夜の奥
闇の只中で
蒼空に焦がれる
眠りの前のまどろみのような
微温湯に抱かれて
希望という名の夢を見る

人はそれを逃避と呼ぶかもしれない
弱者と嗤うかもしれない

でもね 必要だったりもするものよ
蝶が舞う為 繭の闇に籠るように
暗い場所で自分を羽化させる時が

わたしの目を塞ぐのは
わたしだったりするけれど
毒の棘を刺したまま
自分を誤魔化すよりいい

わたしのなかの夜に触れれば
夜明けはおのずと来てしまう

朝冷えの空気は
大らかに張りつめていて
ぬくまった体を浄化する

訪れた朝は
確かに光り輝いて
絶望とは違うものを連れてくる

ほんの少し強くなった皮膚を風が刺しても
微笑むことができるわ

弱さを知って
きっとそれだけ毅然としていられると信じている

ああ、今この時より
もっときれいになった光を
映したい


©2015  緋月 燈


アルカディアの蒼き巫女 トレーラー https://www.youtube.com/watch?v=f896LZ02DUo より。
KOKIA 「Spirit」を聴いて

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