まだら夢の足跡

街に夜の帳が下りて
ガス燈の火が揺らめくと
どこから現れた異国の楽隊
まだら色のヘンてこな服で
妖しい音色を奏でるよ

低い弦の音 手招いて
ヴァイオリン 艶艶 高らかに歌い
軽やかなピアノを体に纏えば
集う子どもたち踊り出す

広場を遊ぶ楽師の舞に
いつしかみんなブレーメンの音楽隊気分
踊り出しても気づかない

果たして楽の音鳴りやんだ
そして誰もいなくなった

しかしどうして憶えていない
街を賑わしたあの音色
かわいい我が子の後ろ姿も
楽師の貌も姿も 誰も知らない
なのにまだらの色模様だけ
眼の奥に滲んでいるのだ

闇の奥 滲む赤と白の色が
今も 楽団の 足跡のように。


©2014  緋月 燈

AmijakanWatch https://twitter.com/AmijakanWatch/status/540867692584898560 様ツイートより展開した物語を。

BGM 志方あきこ「ライラニア」

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