月下美人

時間が止まる
森の奥
あらゆる時が止まる

水は巡りを止め
風も葉音ひとつ揺らさない

木々が落とす露が
葉先に留まり
瞬間を待ちわびる

月下美人
太陽と月が照らす
神の花

陽の光が彫る真白
真昼の月に薫る清廉

古に夜に咲き
清かに月と語らう花
焦がれし太陽が夜を覗き
垣間見た奇跡

刹那 昼と月が 交る

緑の鮮やか
息を吹き返す
時がまた呼吸を始める
夜が終わり
逢瀬もまた明け
後朝の歌の頃へと

白き姫花は再び眠る
一夜の目覚めを待ち望み
文代わりの露を残して


©2014  緋月 燈

AmijakanWatch https://twitter.com/AmijakanWatch/status/524197446088290304 様より。

月下美人の花をめぐる、昼と夜の奇跡を紡ぎました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?