夜半の目覚 真昼の夢
灼けつく太陽が支配する空
石畳の上を歩く
四半時ほど経ただけで
躯は眠りを求めてやまない
真夏に生を受けたというのに
夏の太陽を厭う わたしの躯
それはまるで
死から逃れるための仮死のような
冷たい揺り籠
風を喚び 共に歌っても
わたしはただ奪われるだけ
平等で傲慢な あの太陽に
わたしが生きられるのは 夜の時間
月が照らす 暗闇の中
心 潤み
微笑みを忘れないでいられる
穏やかな時
月が照らす空は
どこまでもやさしい
まっすぐ見つめていられる
暗闇の中に滲ませられ見出す真実は
光が眩ませ隠す生ぬるい嘘より
よほど怜悧で心地よい
眠りと微睡と夢の狭間で
悪夢のような心地よさを擁く
躯に植えつけられた熱を取り払って
冷たい夜に また目覚めよう
それまで真昼の夢を視る
夢はいつか 終わらせなければ。
だから わたしは 終わりにするの。
目覚めた夜を いきるために。
©2014 緋月 燈
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