虞美人草

宮の深く 帳の奥
薄衣覆う温室で
蝶よ花よと舞わせてくれた
わたしを花より愛おしんで

どんな処でも ふたり離れず
連理の翼より深く根ざして

炎が迫り 追われた窟
歌うあなたに舞いましょう

あなたの華が咲く為の
蝶は蜜を枯らしてしまった
翅は重く もはや飛べない

ならば この翅
散らしましょう
あなたが咲かせる華より鮮やかに

ついえた鱗粉
花となり
紅の赤を咲かせるでしょう
幾年経とうと 萎れて咲いて
此処であなたを待っています

死して 蝶となりし あなたを

どうか魂 逢いに来て
今度はあなた わたしを枯らせて


©2014  緋月 燈


AmijakanWatch https://twitter.com/AmijakanWatch/status/538506737578303489 様ツイートより連想。

モチーフは中国故事の虞美人の逸話より。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?