風信子

あなたの憂いを晴らせたらいい

朝の光が暗闇を晴らしても
あなたのお顔は沈んだまま
夜を見ている

あなたがどこへ行くのか
わたしは知らない
瞳曇らせるわけも

ここから動けないわたし
目もくれずにそれでも歩くあなたの
涙ひとしずくでも
受け止められたらいい

人は花に癒しを求めると
鳥たちが歌っていたわ
あなたもわたしを見て
元気になってくれたら
咲き甲斐もあるというもの

お喋りも唄もないけど
花という存在と
香りは捧げられるわ

だからどうぞ摘み取って

この命と引き換えに
あなたが笑ってくれるなら
どれほど嬉しいことでしょう

そして時が経ち
街は少し騒がしくなった
万華鏡いろの愛の形を
誰もが受け入れられなくて
身体に湛えた想いを
鏡もろとも壊してしまった
手向けられた風信子
いつまでも露に濡れていたという


©2014  緋月 燈

AmijakanWatch https://twitter.com/AmijakanWatch/status/544656974382497792 様ツイートより連想。

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