月と翅

こころは暗い森
射しこむ 月のひとすじ
私しかいない闇の棲家に
眠りを忘れかけた魂が横たわる

ここはどこで わたしはだあれ?
なんて
腐蝕の問いにはもう飽いた

繭の裡 さざめく嵐に
涙することもできないで藻掻いてる

月が奏でる子守唄
今は風に掻き消されて
時の訪ないを待つ

小さく立てた爪が傷付けた君を
抱きしめる腕はあるのだろうか
伸ばされた指先を
掬ってくれるぬくもりよ

涙はいつ果てたのでしょう
代わりに月が 泣いている
届かぬ唄を奏で 泣いている

貴女の唄が届くとき
月影に照らされた翅は
美しく輝くでしょうか

月の羽音と翅の綺羅が
いつか共にうたえるように
いますこし 待っていてください
貴女のもとへ次はわたしがゆきますから



©2015  緋月 燈


AmijakanWatch https://twitter.com/AmijakanWatch/status/590149463613673473 様から生まれました。


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