優雅な幸福

少女であった頃
私の背にも
翼はあったのかしら

すきなものをすきと云える
嫌いなものは放り投げて
世界すべてが砂糖菓子
甘すぎて苦くすらあった
セピアよりも鮮やかな時

瞬きの今を
何より大切にしていられた
私はいつから少女でなくなったのか

天鵞絨の温室で
涙を流す暇もない幸福を
お茶に流して味わう私は幸せね

時だけが流れゆくこの場所で
あなたに語り掛ける

ああ わたし
優雅に生きていましてよ
あなたのため
あなたのために
優雅に生きていましてよ
もうお逢いすること叶わぬ あなたのために
少女のわたしを抱きしめてくれた
あなたは ねえどちらにおいでなの
禁色の糸を繋ぐわたしたち
秘密が 幸せだった

声は涙に忍ばせて
喉を引き裂く
透明な悲鳴すら
冷めたお茶に垂らしたら

「片付けておいて
もう飲まないから」


©2014  緋月 燈

AmijakanWatch https://twitter.com/AmijakanWatch/status/528141172682674176 様からイメージして紡ぎました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?