白亜の薫

空の蒼に融け込むこともできず
佇む 白亜の神殿
いつの時代から
時を止めたように
最期の刻を朽ちることなく
其処に在る

何を待っているの
その腹に守る女神は
もういないというのに

神々の残り香を現在-いま-に刻む
石の社は
まだあんなにも雄々しく
あの日の記憶を垣間見せる

天に上げられた乙女
愛を汲んだ葡萄酒の香り
恋の歌を竪琴に奏でれば
月桂樹の冠を戴く言ノ葉は
石に刻まれ 固く固く継がれ
宝石よりも今に薫る

空と海に溶けた蒼は
あの日と変わらず輝きつづけ
悲しみの涙すら晴れやかに散らせる

風にひそむ神々の息吹が
白を纏う旅人にささやく
「お帰り 終焉と始まりの地へ」

星が 涙に呼応した。


©2014  緋月 燈

AmijakanWatch https://twitter.com/AmijakanWatch/status/537163052953526272 様よりイメージ。

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