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作詩-言葉たち-vol2

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2015年9月の記事一覧

そっと、そっと、綴じるようにした。

図書館で読まれるのを待つ書物のように
ひっそりと、お行儀よく
佇んでいた。

感情の波間を凪ぐ
つるりとした皮膚を纏って
何も感じないこと
秘めることが美しかった

それが本質ならよかった

幽かな波紋の奥底には激流があった
微笑みの影には悲しみもあった
沈黙には無数の想いが漂っている
言葉の鏃は氷山の一角
ぬくもりをあたためるのは幾億の愛
歪みが息をうまくさ

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今というわたし

今というわたし

あなたが好きと歌えたら
きっと素敵な響きになる

伝えられる幸せ
想えるあなたがいる幸せ

ぜんぶぜんぶ途方もない

何十億という道筋の中から織りなされた
今、というわたし

愛して愛して愛されて
次に今をわたしてゆくの

愛も光も信じられない
なんにも見えない
闇さえ感じぬこともあるわ

くぐり抜けたい どうにかして

一寸先はいつだって
闇より深い道筋の途中

それでも止まって立ち竦んでも

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