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【声劇】あのときの約束

仲良しの幼なじみたちは...


「花凜ちゃんは何になりたいの?」

この質問に幼い頃の私は
《 優斗くんのお嫁さん 》って答えた

《僕も花凜ちゃんと結婚するー!》


SE:目覚まし時計の音

花凜) ふへへ、へへへ

優斗) おーい、花凜 起きて学校遅刻するよ

花凜) へへへ、あはは

優斗) うわっ... 夢見ながらニヤけてる

優斗) おい!置いてくよ?良いの?
花凜 今日日直なんでしょ?

花凜) ん〜、んふふふ 優しい声がする

優斗) ほら、ニヤけてないで!起きて!

花凜) んぇ?あれ、優斗だ
おはよう でもなんでいるの?

優斗) おはよう 花凜
なんでいるの?じゃないでしょ!
花凜がまだ起きてこないって
美玲さんが言うから来たの!

花凜) お母さんのこと 下の名前で呼ぶのなんか変

優斗) え、そうかな?別によくない?

花凜) んん~ なんか嫌

優斗) そっか、嫌かぁ

花凜) なに?

優斗) ん〜?なんでも

花凜) あのね?優斗起こしてくれて嬉しいけど
ここは麗しき乙女の部屋なの
そこのところわかってる?

優斗) あー、そうだった
花凜お嬢様のお部屋でしたね
分かったって出ていけばいいんだろ?
さっさと着替えて出てこいよな?

早く来ないと俺まで遅刻だっつぅの

花凜) さっきの優しさはどこへやら

優斗) 俺はい・つ・も・優しいはずだけど?

花凜) そうだね、ごめんごめん
今行くから先に下降りてて!お願いっ!ね?

優斗) あぁ... わかったよ
(やっぱ、花凜の寝起き可愛い...)

花凜) なにしてんの?ほら、早く出てって!

優斗) はいはい!

SE:階段を降りる音

花凜) はーい!優斗 おまたせ

優斗) おまたせっ!じゃねぇ
さっさと行くぞ

花凜) え〜!なに〜?
優斗くんがだーいすきな花凜ちゃんが
来たのにその態度?

優斗) わ〜い。やったぁ。
これでいいか?ほら、行くぞ

花凜) なにその興味無いですって感じ
もっと喜んでよ!

優斗) 時間ねぇんだよ!今日学校だぞ!
(今日も最高にかわいいぞ!花凜!)

花凜) あっ!そうだった!
おかあさーん!いってきまーす

SE:ドアが閉まる音

優斗) ...ったく、花凜は朝から世話が焼けるんだから
(こういうところも好きなんだよなぁ)

花凜) 別に?もう高校生だし、
優斗が面倒見てくれなくても平気だもん

優斗) え? ちょっと待って?
それってどういう意味?

花凜) そのままの意味だけど?

優斗) なぁ、そのままの意味ってなんだよ
分かんねぇからハッキリ言えって

花凜) ん〜、いい!もうこの話は終わり
学校行こ!

優斗) おい、待てよ 花凜!まだ話は終わってない...

SE:学校のチャイム

花凜) あっ!予鈴だ!
それじゃ、優斗 今日もお互いに頑張ろうね

優斗) おぉ〜、授業中寝るなよ〜

花凜) そっちもねぇ〜

(あぁ、もう!俺じゃなくても平気ってどういうことだよー!)

SE:チャイムの音

花凜) おーい、優斗!

優斗) ん〜

花凜) ねぇ、優斗ってば!起きて

優斗) んぇ?あれ 花凜だ〜

花凜) 花凜だ〜じゃなくて!午前の授業終わったよ?
もしかして寝てたの?

優斗) あ、終わったのか
さっきうちのクラス自習だったからさ

花凜) それで寝てたんだ

優斗) はぁ?寝てねぇし
ちょっと考えごとしてたんだよ

花凜) 考えごとって?どんな?

優斗) 花凜には教えない

花凜) なにそれ ケチ
まぁ、いいや ご飯食べよ

今日は何かな〜?

優斗) うちは今日オムライスだって母さんが

花凜) え!オムライス?良いなぁ

私のは〇〇だ〜
苦手だから入れないでってお願いしてるのに

優斗) 〇〇美味しいって!きっと食べられるようになって欲しいんだよ

花凜) でもなぁ~

優斗) よし!分かった
ひと口食べれたらオムライスあげる

花凜) ほんとに?

優斗) 今日のお弁当は交換な
そんで後で花凜の母さんに正直に言お?な?

花凜) 分かった...

優斗) そんな悲しそうな顔すんなって
食べれるようになったらいいんだから

花凜) うん...

《 少し間をあける 》

花凜) ねぇ... 優斗

優斗) ん?

花凜) 今日ってさ、部活 何時まで?いつもの時間?

優斗) どした?珍しいじゃん 待っててくれんの?

花凜) そんなんじゃない...
テストも近いし、図書館で勉強してようかなって思っただけ

優斗) 相変わらず真面目だね 花凜ちゃん

花凜) その言い方やめて

優斗) なんで?

花凜) なんでも!

優斗) もうすぐ大会近いからちょっと遅くなる
終わったら図書館に迎えに行くよ
それまで大人しく待ってて、できる?

花凜) うるさいなぁ、それくらいできるよ
子供じゃないんだから

SE:チャイムの音

花凜) 予鈴鳴ったよ、午後の授業始まるから行くね

優斗) ん、そだな

花凜) 優斗、練習頑張ってね!

優斗) おう!

(花凜 ほんとにどうしたんだ?今朝といい、今と言い 部活が終わるまで待ってるなんて滅多にないのに)

(帰りにでも聞いてみるかぁ)

SE:紙をめくる音

花凜) あぁぁ、数学ってなんでこんなに難しいの~
全然わかんない~

はぁ、優斗だったら
簡単に解けちゃうんだろうなぁ

私はいつも優斗に助けてもらってばっかり

優斗) 俺がなんだって?

花凜) え?優斗?いつからいたの?

優斗) あぁぁ、なんで数学って
こんなに難しいの〜 から

花凜) 最初からじゃん、声かけてよ

優斗) いやぁ、図書館来たら
ちょうど花凜が唸ってるのが
聞こえてちょっと観察してたんだ

花凜) 優斗のヘンタイ!

優斗) 変態じゃないよ

花凜) んーん、優斗はヘンタイなの

優斗) 分かった、ヘンタイでいいよ
それで?どこが分かんないんだ?

花凜) ここが分かんなくて...

優斗) ほぼできてるじゃん
あともう少しだよ

花凜) ほんとに?できてる?

優斗) あーぁ、花凜が勉強できるようになったら
俺...

花凜) 勉強ができたらなに?

優斗) 威張れなくなるなぁって

花凜) ふふっ、なにそれ 変なの

優斗) キリいいところまでできた?
そしたらもう遅いし、帰ろ

花凜) うんっ!

優斗) リュック重いだろ、持つよ

花凜) いいよ〜、大丈夫

優斗) こういうのは黙って持ってもらいなさい
分かりましたか?花凜ちゃん

花凜) はい... 分かりました

優斗) よろしい、それじゃ帰ろ!

SE:歩く音

優斗) 花凜、ちょっと聞きたいことがあるんだ

花凜) ん?なに?

優斗) 今朝のもう俺に面倒見てもらわなくていいってどういう意味?

花凜) そ、それは...

優斗) なんで黙るんだよ
まさか彼氏でもできた?

花凜) ちがっ... そんなんじゃない...

優斗) じゃあ、なんで急に...

花凜) 私は優斗とは違って一人じゃ何にもできないし、高校生にもなって頼ってちゃいけないなって思って... だから...

優斗) そんな... 俺たちずっと一緒だっただろ
それなのになんで今更...

花凜) 優斗は昔から勉強できて運動神経抜群で優しくて困ったときには助けてくれる... 私にとってはヒーローみたいな存在なの

優斗) なに、すっごい褒めてくれるじゃん...

花凜) だってほんとのことだもん!

優斗) あ、ありがとう... 嬉しい

花凜) それに!私 知ってるんだから!
放課後 呼び出されて告白されてるの!

優斗) ...っな!知ってたのか

花凜) 私が一緒にいるから好きな子と付き合えないのかなって考えたりした...

優斗) 俺が?花凜以外の子を好きになるって?
そんなことあるわけなっ...

花凜) わかんないじゃん!

優斗) 絶対ない

花凜) なんで言い切れるの?

優斗) だって昔 約束してくれたでしょ
「花凜は優斗くんのお嫁さんになるって」

花凜) え?覚えててくれたの?

優斗) もちろん!だって俺
あのときめちゃくちゃ嬉しかったから

優斗) それに俺 あのときから花凜のこと好きだし

花凜) え〜!そうなの!?

優斗) 初めて言うから 知らなくて当たり前

花凜) 私の知らないことまだあったんだなって

優斗) なんか嬉しそう

花凜) わかる?

優斗) 花凜のことは任せろ!

花凜) じゃあ今なに考えてるか当ててみて

優斗) え?そんなの一つしかないだろ

花凜) へぇ〜、一つしかないんだ

優斗) 優斗 好きだなぁ~ これだろ

花凜) うーん

優斗) あれ?違った?

花凜) ちょっと惜しかった
正解は... 優斗のこと大好き!

優斗) うわっ!あぶなっ!急に抱きつくなって
それに顔近い

花凜) 嬉しいくせにー!

優斗) うんうん、すんごい嬉しい
だから一旦離れよ、俺がヤバい

花凜) ヤバいってなにが?

優斗) そこは聞かないで

花凜) え〜、そうなの?

優斗) そうなの!よし、今日はもう帰ろう

花凜) 分かった...

優斗) 花凜、頼むその目やめて?帰りたくなくなるから
また明日の朝迎えにいくからさ、ね?

《 完 》

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