つらいコトがあったね かなしいコトがあったね くやしいコトがあったね やりきれないコトがあったね 涙の粒は水溜まりになって 吹きつける風が波紋をたてた わたしもツラかった わたしもかなしかった わたしもくやしかった わたしもやりきれなかった あなたの声はブランケットのよう 柔らかくあったかくわたしを包む 一人で流す涙の波紋は 二人分で夢のさざ波になった 二日月
かたちあるものは いつかは壊れるんだよ 年上のその人は言った わたしを慰めるように わたしのものではない 使い込まれてほっこりした湯呑み この手がうっかり 滑って壊してしまった罪の気持ち かたちないものが 何年経っても胸に残る 二日月
ふっと窓の外に 忘れ物を取りに来た 冬の姿を見つけた ぴりっと冷えた朝に また出発し直す季節が 体を払ったらしい さらさらと流れる 時計の砂のような 粉雪が降る ニッと目が合い笑った わたしも忘れ物 取りに戻ったところ 二日月
葉を打つ雨音と 木々を揺らす風の音が 本日の伴奏者 聴いてよ ちょっとの間、手を止めて わたしの唄を ほら見てよ 広げた羽は雨粒を弾いて 小さな宝石を生んでる 止まり木の上で 羽ばたいてるよ しばしdanceをご覧あれ お礼の挨拶と共に 次のステージに 飛び立って行くその時まで 二日月
胸にぽっと あたたかさが灯ると 暗闇に浮かぶ 横に並んだ仲間達の姿が 光が照らす 世界だけが全てじゃない 暗くても重くても 荷を一緒に引いてくれる 仲間がいる わたしは一人じゃない この灯りを 決して手放すまい 二日月
霞がかった 優しい水色の空に舞う 卒業の証 終着がない 目にも見えない広大な 慈愛の心 光さえ届かない 深い闇が守ってる 再生への願い どんな困難でも 千切れなかった 絆の強度 測っていた プラスチック製のモノサシ 思いっきり放り投げた 二日月
期待の波に揺られて ころり 落胆の波に揺られて ころり 愛しさが流す涙の海で ゆらり 悲しみが流す涙の海で ゆらり この心臓の奥の奥に 静かに生まれた 世界にたったひと粒の カタチと輝き 二日月
しないで そんなコト この星は 生まれて来た人それぞれに 同じだけ 贈り物を準備しているのに なぜ人は それを丁寧に受け取れないの 同じ家に 共に滞在して来たことも忘れ お互いの 持ち物ばかりに目がいって 敵意に果てに 家から立ち去らせようなんて そんなコト 二日月
まだ寒い まだ冷たい まだ羽布団にくるまってたい カーテンを開けた途端 いきなり目が合った 夜明けのハーフムーン 一日の滞在時間を 段々と伸ばしてるお日様に 青く朱く染められる雪景色 まだ開けられない 冷たい外の空気を遮る 分厚い二重ガラスの窓 みんな待ってる わたしの歩みを見てる たぶん微笑みを浮かべながら 二日月
今は別々の国にいるけれど お互いの胸には灯っている ちらちらと燃え続ける焔 地図はない 姿は見えない 時に足は動かなくなる 砂にもつれて重くなる けれど消えない 歩かずにいられない 胸の焔は諭し続けるから 踏み出す、一歩でいい 二人が繋がる海へ、たぶん 二日月
疲れちゃうだろうな ずっとは 灰色 ねずみいろ はっきりしない 曖昧で ちょっとネガティブな印象 でもさ 毎日 きらきら わくわくして 鮮明で ポジティブなわたしが続く そんなの 二日月
愛は贈りたい時に 何にも縛られず贈りたい 愛は返したい時に 何にも縛られず返したい 誰にも決められたくない 時にも縛られたくない わたしの愛は リボンを掛けていないけど 二日月
相容れないはずの 二つは 勇気を出して 指先に触れ合いたがってる お互いが滅ぶかも 心配が 希望を覆って 真実に瞼を開けられない 打ち消し合うって? 水と炎 未来を本気で求めれば 真っ黒な鉄の塊だって 動かせたじゃない 二日月
もうわたし飲みたいの 口に含んで味わいたいの これ以上心を揺らしたくないの 喉元を通る温もりでユルんで もう動けない体も心も 手を伸ばしてしまう、それでも 見つめるキミに気持ちが揺れる 頭の中まで感情が渦を巻く 指まで冷えた手のひらで そっとカップを包み込んで 甘く静かにミルクティーは揺れて 胸の中の希みは消えそうで 二日月
一口含むと舌に広がる カカオの香り高く ほんのりほろ苦く 刹那に甘く キミとの時間は ガトーショコラ ティーポットが待っている ケトルがクツクツ鳴っている 小さなストレーナーを そっと優しく叩いて 冷えた身体に powder sugerを降らせてよ キミの指先を待つ 切ないわたし 二日月
空を渡っている雲は 消えてしまうまでの時間で どこまで旅が出来るのか 知らないだろうな 雲から零れ落ちた雪は 溶けてしまうまでの時間で どこまで旅が出来るのか 考えないだろうな 強く弱く吹いてる風は 生まれたから舞い続ける 雲や雪を運ぶためでは きっとないんだろうな じっとしてるわたしは 信じる気持ちを見失ってる 愛も喜びも疑念の中には きっとないんだろうな 今宵も月は登るだろうな 闇が訪れても輝きはしないけど この星の陰で夜空を沢山の 心のともしびに譲るんだろう