売るためにつくる。(1)

なにを真面目なことを言い出したんだ。と
そう思うかもしれないですし、
何を当たり前のことを言ってるんだ。と
思う方もいると思います。

でも少しだけお話しさせてください。
わたしが勉強したこと学んだこと。
ものを作って売るためのこと。

わたしはフリーランスとして、いまとある会社さんにjoinしています。成熟した会社さんもあればまだ走り出して間も無くやや息切れをしている会社さんもあります。

でもどこの会社さんも世の中の何かを「よくしていきたい!」と思って、日々動いている。

わたしが何より感銘を受けるのはそこで、本当に「誰かのために」という気持ちを持っている人たちは強いなと思います。

わたし自身もともとアパレルのデザイナーでしたので、仕様書書きなどを請け負うこともあれば、少し記事を書いたりしていた時期もあります。

しかし最近、すこし仕事の内容が変わって参りました。もっともっとディレクター寄りの仕事をするようになりました。
それはただ言われた仕様書を書いたりするのとはちがう、もっともっと能動的な、事業の地図を描く仕事になってきました。

わたしのディレクションにおける仕事は、「売る」ための仕組みをつくる仕事です。

そこがアパレルやブランドのデザイナーさんとはすこし変わってくるのですが、フリーランスとして企業のディレクションにjoinする場合、自分のテイストとか自分の世界観とか、「自分」を主語にした仕事はできません。

あくまでそれはその「企業」のものであり、「社長や社員」の思想であり、そしてなにより「その企業のユーザー、未来のユーザー」のための仕事に他なりません。

当然のことを言いましたが、これをぶらすことなく作っていくにはコツと根性がいるということを学びました。

誰よりもまず、社長のビジョンを聞き出す。

「ものをつくれば売れる時代」というのが、過去に日本には本当にあったそうです。

話に聞くたびに驚いてしまいますが、本当に。

以前も言いましたが、そんな時代はもう私たちが生きている間、二度と来ないでしょう。

いまは物や情報が溢れ、ユーザー側も自分に最適なものを選ぶことが難しくなってきています。

世の中に、一定スペック以上の商品や発明は出揃ってしまいました。

わたしも先日エアコンを買うとき、何が良くてどうちがうのかさっぱりわからない!と思った結果、名前の好みだけで「しろくまくん」を買いました。

だってどれを買っても夏はある程度涼めるし、冬はある程度温もれるので、必要な要素はどのエアコンも満たしてるわけですから。

要するに非常に差別化が難しいです。

そこで差別化を図るに当たってわたしが大切にしてるのはなにより「社長のビジョン」です。ビジョンの部分は目標や目的に言い換えてもいいです。

なんのために、この事業をやるのか。

これを言語化してもらおうとすると、意外とすぐにできない方もいらっしゃるのですが、それでもしつこく聞きます。

これを聞き出しながらぶれないように固定するまでに、半年から一年かかったこともあります。その間毎週のように会っては、ズレを修正していきます。
人によっては嫌がられますし、うまくいかないこともあります。

でも、お相手のほとんどは経営のプロではあっても企画やデザインのプロではないので、そこでわたしがブレてはいけないと考えています。

わたしが何故こんなにこだわるかというと、このビジョンがあるのとないのとでは、チームのまとまり方や企画の出揃い方、しいては組織づくりまで変わっていくとても大切なことだからです。

例えば普通に《家具を売る》にしても、社長が『日本の伝統的な家具を残したくて会社を作ったんだ』というのなら、各地の伝統をリサーチして職人さんに会えるような展示会や工房に赴かなくてはならないですしインテリアデザイナーよりも民俗学的な観点からものを観れる人がメンバーになった方がいいかもしれません。

または『引越しの多い賃貸派の家族にぴったりな安価なインテリアを取り揃えたい!』ならそういった家族がいるようなショッピングモールに出店したらいいかもしれません。そして海外で作った方がいいかもしれませんし、もしくはバイイングするのか。差別化を図るなら企画力も必要です。

わたしの力不足で、これが後々大きくブレるということが起こることもあったのですが、大変なのは特にスタッフのマネジメントでした。。実務自体はなんとかなるものですが...
なのでよくよく確認を何度も行なっていくようにしています。

言って聞かせるよりも行動。とは言いますが、言わせて頂きつつ行動を伴わせるということでしかわかってもらう道はないと実感しました。
それはお客様に対しても一緒で、『わたしたちはこういうビジョンを描いています』というのを伝えながら、商品にもそれを語らせること。

それなくしてはブランディングは成立しないと考えています。

売るためにつくる(1)はここまで





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