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同調率99%の少女1~13

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那珂が主人公のオリジナル小説。 鎮守府Aの物語 1~13巻分まで
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2016年1月の記事一覧

同調率99%の少女(6) :大団円

--- 5 大団円  握手をするために立ち上がっていた提督と校長が校長室のソファーに腰掛けると、空気は一気に変わり、全員の緊張の糸がほどけたように開放的になった。 「なみえーー!!よかったじゃない!」 「うわぁ!みっちゃん!?」  急に三千花に抱きつかれ、驚きを隠せない那美恵。親友がそんなに感情を露わにするのは珍しかったからだ。一方で提督は先程までの硬い表情から打って変わって安堵の溜息をついていた。そして側にいた五月雨たちと喜びを分かち合っている。  那美恵と三千花

同調率99%の少女(6) :待ち望んだ言葉

--- 4 待ち望んだ言葉 「西脇さん。鎮守府Aとの提携、承知いたしました。」 「!!」  待ち望んでいた言葉が、那美恵や提督たちの耳に飛び込んできた。 「私達があなた達の関わる戦いで携われるのは、もはやこれしかないのだと痛感しております。事件の記憶を語り継いで子どもたちに命の大切さを説くならば、今こそ私達教育に携わる者たちは艤装装着者、艦娘になる学生たちを私達が持つ権威・権限で守ることなのだと思います。西脇さん、戦いに従事するかもしれない学生たちを守るその制度に、我

同調率99%の少女(6) :校長の語りと祖母の記憶

--- 3 校長の語りと祖母の記憶 「第二次大戦から70年あまり、日本において世界で初めて人ではない外的要因との本物の戦いがあったそうです。」  その言葉を皮切りに校長が語った内容は、那美恵の知らぬ祖母の姿が垣間見える内容だった。 「あなたのお祖母様方は、その戦いに関わった大事な経験と記憶を持つ人達でした。当時は愛称もつけられるほどの伝説の小学六年生集団として人々から注目されるほどだったのに、全てに片がついた後、何故かある時期を境にパタリと人々の間から存在の記憶は途絶え

同調率99%の少女(6) : 交渉

--- 2 交渉  交渉日当日、15時少し前に那美恵と三千花は校舎を出て校門前で提督らを待っていた。ほどなくして那美恵たちの高校の校門を通る部外者の影が4人あった。その姿が見えた時、那美恵はそのメンツに少し驚きを示した。 「あれ?提督だけじゃないんだ。」 「あぁ。メンツは多いほうがいいと思ってね。3人連れてきた。」  そう言って提督が向けた視線の先には、工廠長の明石、重巡妙高、そして秘書艦五月雨の姿があった。 「今回は微力ながら皆さんの役に立てるよう振る舞いますね。

同調率99%の少女(6) : 交渉に向けて

--- 1 交渉に向けて  鎮守府に見学に行った翌週から、那美恵たち生徒会メンバーは通常の生徒会業務をする傍ら、鎮守府見学の報告書を作成し始めた。主に書記の和子と三戸が写真・動画を選んで文章を書き、レビューを副会長の三千花が、最終レビューを生徒会長の那美恵が担当して作業する。  文章力などは三千花が得意ということもあり強いため、最初のレビューでは三千花が内容は別として全体的な構成をチェックし、肝心の内容のほうは那美恵が艦娘としての立場を踏まえてチェックするという流れである